元祖ハッカー、竹内郁雄先生による書き下ろし連載の第46回。今回のお題は「プログラミングのパラダイム」。 ハッカーは、今際の際(いまわのきわ)に何を思うのか──。ハッカーが、ハッカー人生を振り返って思うことは、これからハッカーに少しでも近づこうとする人にとって、貴重な「道しるべ」になるはずです(これまでの連載一覧)。 文:竹内 郁雄 カバー写真: Goto Aki 私は研究所で仕事をしていたのに、学位(博士号)を取ることに興味がなかった。プログラミングが好きな人にありがちなのだが、システムを作るほうに興味があったのだ。当初から上司に早く学位を取るように言われていたのだが、依怙地にそれに反発していた。どうも学位を取ってしまうと、管理部門的な仕事に回されてしまう事例が多かったこともその一因だった。学位を取ると「上がり」になるような雰囲気だったのだ。 生涯一保守(・・)のような研究所生活だったが、