俺は今日もガイガーカウンターを見ない 東北の震災があって、原発が事故を起こし、この国中に放射性物質がばらまかれてから4年が経っていた 今日も空は青く、緑は相変わらず緑で、震災前と何も変わらないように思う しかし、あの日、目に見えない放射性物質が突然やってきて、俺の世界を一変させてしまった 震災直後の俺はパニック寸前だった 放射性物質を見つけることができるガイガーカウンターを競うように買い求めた その結果俺は、俺の生きている世界の、真実の姿を目の当たりにしてしまった この国で生きていく限り、どこにも逃げ場はないと俺は悟った 俺はまだ鼻血も出したことはないし、健康そのものだと思う でも俺は知っている、この国はもう昔には戻れない 何もかも手遅れなんだ 俺は自分を騙しながら、この放射能に汚染された国で、 今日も事故が起こる前と同じ生活を続けている