「オオカミ!!すぐにげて!!」 あのオオカミ少年がオオカミに食べられてから5年。 今では別の少年が羊飼いをしており、オオカミが来ると村人たちに必死の形相で繰り返し大声で叫ぶ。しかし…… 「……オオカミじゃなくてキツネだったか」 「まぁ、オオカミじゃなくてよかったじゃないか。無事が何よりだよ」 5年前のオオカミ襲撃時には、オオカミ少年や羊だけではなく、多くの村人も犠牲になった。 村人たちはオオカミ少年のウソが油断を招いた結果被害を拡大させてしまったことを反省し、新たな羊飼いの少年には、オオカミを見かけたらすぐみんなに避難を呼びかけるよう、強く言い聞かせた。 この新しい羊飼いの少年は、オオカミ少年とは反対でとてもマジメな少年であったが、良くオオカミを見間違えた。この前はタヌキだった。 「今度はキツネか。いい加減にしてくれよ。これじゃオオカミ少年と変わらないよ」 「大体、言い方が大げさすぎるんだ