転勤に伴い、荷物整理と引っ越し代の調達を兼ねて、手持ちのオタクグッズを店に売った。 ブッコフよりも比較的何でも買い取ってくれることで有名な某店にお願いしたこともあって、 自分の手持ちのグッズ、同人誌、フィギュア、CD、DVDが面白いようにお金になっていく。 おかげさまで、引っ越し代の半分以上を賄えるぐらいのお金を手にすることができた。 ただ、ぽっかりと空いたクローゼットや本棚を見つめるうちに、 心の支えを失ったような不安感に襲われていく自分がいた。 毎日真面目に働いてはいるけれど、彼女もいない、大した趣味もない、給料も安い。 友達だって多くない。将来実現したい夢もない。 30手前にして、自分にはオタク以外のアイデンティティがないって事に気づいてしまった。 誰も知人がいない土地に行って、俺はこれからどうやって生きていくんだろう。 今は静かに泣いてる。