ビクトリア湖の湖畔。水に長く触れると寄生虫に感染する恐れがある=ケニア西部ホマベイで2022年10月3日、平野光芳撮影 貧困層の足をむしばむスナノミ症の取材のため、10月上旬、ケニア西部ホマベイ郡を訪れた。ただ地元で流行する熱帯病は、これだけにとどまらない。 ホマベイで泊まった宿舎は、アフリカ最大の湖、ビクトリア湖が目の前にあった。部屋にいても湖から吹いてくる風や、穏やかな波の音が心地よい。ただ安易に湖岸に行って水とたわむれてはいけない。「住血吸虫」と呼ばれる寄生虫が生息していて、湖水に触れると皮膚から侵入して感染するリスクがあるためだ。 湖水に接触で感染の恐れ 住血吸虫症は世界保健機関(WHO)が定めるおよそ20群の「顧みられない熱帯病」(NTDs)の一つで、世界中の7億人以上が流行地域で暮らしている。 住血吸虫は幼虫が巻き貝の中で成長し、淡水中に出てヒトに感染する。ヒトの体内で増殖した