遠い未来の話ではないのかもしれない。財布の中のお金がデジタル化され、「デジタル円」となる日のことだ。日本銀行に勤めた経験があり、中央銀行(中銀)が発行するデジタル通貨の開発に詳しい麗沢大教授の中島真志さん(63)は「数年後に実現する」とにらむ。デジタル通貨とはどういったもので、暮らしをどう変えるのか。話を聞いた。【聞き手・安藤大介】 ――日銀が4月から中銀デジタル通貨の実証実験を始めました。海外でも多くの中銀が開発に乗り出しています。なぜ今、デジタル通貨なのでしょうか。 ◆現金がやや不便で時代遅れの手段になっているからだと思います。今はさまざまな取引がデジタル化され、スマートフォンが1台あれば、モノを買ったり売ったりできます。現金で払うと手渡しが必要になり、小銭のやり取りなど結構面倒なので、通貨をデジタル化するニーズが高まっているのです。技術面では、仮想通貨(暗号資産)のビットコインなどで