【モスクワ=遠藤良介】ロシアのプーチン政権を批判してきた著名人がまた、凶弾に倒れた。モスクワのクレムリン近くで銃殺されたネムツォフ元第1副首相は、ロシアのウクライナ介入や高官の汚職を鋭く糾弾してきた存在。殺害の実行犯や背後関係は不明だが、クレムリンのプロパガンダ(政治宣伝)により、反政権派を許さない風潮が広がっていることが事件の背景として指摘される。 政権批判が理由だと疑われる殺害事件は過去にもあった。2006年10月にモスクワで女性記者のポリトコフスカヤさんが射殺された事件や、09年7月にチェチェン共和国で人権活動家のエステミロワさんが殺害された事件が一例だ。それでも「一線を越えない限り、政権に否定的な意見も許される」というのが政界や報道界の“掟(おきて)”だった。 しかし、昨年3月のクリミア併合後、プーチン大統領が反政権派を「第五列」と称した頃から状況が一変した。「第五列」はスペイン内