去る2月7日に北朝鮮が人工衛星として発射した事実上の弾道ミサイルは、射程距離において1万2000kmに及ぶとされる。「水爆実験」の実施をも踏まえるならば、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に大きく踏み出したとみて間違いないであろう。かくして世界は、「金正日より残虐」といわれる独裁者が核兵器を保有するという悪夢に直面しようとしている。 こうした核の脅威に対し、歴代政権は、日本の安全保障は最終的には米国の「核の傘」によって担保されるとの立場を強調してきた。ところが、その米国において、過激極まりない言動で一過性の候補とみなされていた共和党のトランプ候補が「最終的に大統領の座を手に入れる可能性を否定することはできない」(『フィナンシャル・タイムズ』2月16日)とも指摘される状況となってきた。 仮にそれが現実のものとなれば、日本の安全は、米国の最高司令官として「核のボタン」を握る“トランプ