「私の顔を見たくなければ、早く成立させてほしい」。3年前、当時の菅直人首相が、退陣を受け入れる条件に挙げるほど執心したのが、再生エネルギー特別措置法案だった。 ▼電力会社に、固定価格で太陽光や地熱、風力などの再生可能エネルギーの買い取りを義務づけたものだ。小欄は、脱原発のイメージ作りのための思いつきのアイデアと批判した。案の定である。 ▼一昨年7月に制度がスタートすると、買い取り価格が高めに設定された太陽光発電に、参入が集中した。天候に左右される太陽光は安定性に欠ける。大量に受け入れると周波数が乱れて、停電の恐れがある。買い取り費用を上乗せする、電気料金の負担の大きさも深刻な問題だ。経済産業省が制度の見直しに乗り出すのは、当然である。元首相の負の遺産に、またも振り回された。 ▼2022年までにすべての原発を止めるドイツでは、すでに14年前から同じ制度を導入している。ドイツ在住30年の作家、