◆伊勢神宮での「神体験」 天皇陛下の「即位礼正殿の儀」(令和元年10月22日)が始まる直前の午後1時前、にわかに雨が上がって晴れ間が見え、皇居上空にはご即位を祝福するかのように虹がかかった。 それを聞いた瞬間、伊勢神宮の式年遷宮での「神体験」が脳裏をよぎった。平成25年10月2日夜、内宮の「遷御の儀」に招かれ、3千人の参列者と一緒に森閑とした真っ暗闇の森で式典を待っていた。午後8時、「カケコー」の鶏鳴三声(けいめいさんせい)を合図に、皇祖神の天照大御神のご神体を新宮へと移す渡御行列が動き出したその時、頭上で突然、一陣の風が舞い、森の一角がザワザワッと揺れたのである。 私は驚いて夜空を見上げ、「神宮の粋な演出か?」と訝(いぶか)しみもした。が、周辺から「こりゃ何だ」などと呟(つぶや)きがもれ、私は「これは神が20年ぶりに表に出て、歓喜のあまり天空で舞い踊っているのだ」と勝手に感じ入った。現場