10月1日に、東芝がデジタル放送専用録画機ぶんの補償金を支払わなかったことを明らかにした(「デジタル専用録画機は補償金の対象外」 東芝が支払い拒否)。これに関して事情がよくわからず混乱している人も少なくないようなので、今回はこの問題について解説してみたい。 デジタル放送専用録画機とは、従来のアナログ地上波用のチューナーを搭載せず、デジタル放送しか受信できないレコーダーである。以下デジタル専用機と呼ぶことにしたい。まず前提として、今年5月には東芝とパナソニックが、このデジタル専用機の価格に、録画補償金を上乗せせずに販売していることが明らかになっている(「課金対象か明確でない」――パナソニックと東芝、デジタル専用レコーダーに補償金上乗せせず)。 日本の補償金制度では、消費者がこの補償金を支払うことになっている。補償金は対象機器の販売価格に含まれており、例えばレコーダーであれば、基準価格(ほぼ実
16日の私的録音録画小委員会(第5回)での、中山信弘主査の締めの言葉が印象に残るものだった。議事を進めて報告をまとめる役割を中山主査が担っていたわけだが、いわゆる「ダウンロード違法化」を実施する方向を維持しつつも、本題の私的録音録画補償金について方向性が打ち出せなかった。これを指しての発言だ。 発言を以下に引用する。私の傍聴メモと記憶から再構成したものなので、正確なところは1か月後くらいに公表される議事録を待っていただきたい。 この私的録音録画補償金の問題は、知財戦略本部から、制度の廃止も含めて根本的な検討をおこなうというミッションを頂戴していたわけですが、合意できずに主査として大きな責任を感じるところです。 私事になりますけれども、去年、著作権法の体系書を出しまして、その本の最初のタイトルが「著作権法の憂鬱」ということでして、まさにその「憂鬱」が現実のものになってしまいました。補償金
12月16日、私的録音録画小委員会の第5回会合が開かれた。今回了承された報告書にも書かれていたのだが、「今期で終了」する同小委員会の最終回ということになる。権利者・メーカー・ユーザーの立場から委員が意見をまくしたてていた、小委員会のこれまでの様子とは対照的に、静かに淡々と終わった。わずか30分の会合だった。 私的録音録画補償金の「根本見直し」をするのが目的だった筈が、結局その制度には手をつけられないまま幕を閉じる。また、注目されていた「iPod課金」の行方についても結論が出なかった。事務局は論点整理ができたと強調していたが、今後の議論でそれが役立つかは、今回現に失敗しただけに疑わしい(個人的には、そのまま議論を続けたら話がこじれるだけだと思う)。2006年以降、この小委員会で議論されて生み出されたものと言えば、例外・例外で虫食いだらけになった著作権法30条だけになりそうだ。 私的録音録画
地上デジタル放送のコピー制限を緩和する新ルール「ダビング10」問題で、経済産業省と文部科学省が示した合意案は、メーカー側に一定の配慮をして、対象を絞り込んだ。 ただ、著作権団体側は反発を強めており、総務省が目指す6月中の決着が実現できるか不透明だ。(加藤弘之、石井重聡) ダビング10合意案「補償金の意味ない」 合意案は、高画質DVDのブルーレイディスク(BD)のレコーダーと記録メディアを新たに課金対象に含めた一方で、5月の文化庁案で対象だったハードディスク駆動装置(HDD)を外した。 これは、メーカー側に「HDDに課金されれば、将来、携帯型デジタル音楽プレーヤーやパソコンも対象になりかねない」との危機感が根強く、両省がダビング10の早期実施には、メーカーに一定の譲歩をする必要があると判断したためだ。メーカー側からは「最悪の事態は避けられた」(電機大手)との声が出ている。録画機の補償金は、基
文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」の今期第2回会合が5月8日に開かれた。文化庁は、iPodやHDDレコーダーなど「記録媒体を内蔵した一体型機器」を、録音録画補償金の課金対象とする制度改正案を提示。電子情報技術産業協会(JEITA)の委員などが「補償金の課金対象が際限なく拡大するのでは」などと懸念を述べ、議論が紛糾した。 文化庁の案は「DRMによってコンテンツの複製回数を完全にコントロールできれば、補償金は不要になる」とし、著作権法30条2項に定めた補償金制度を順次縮小していく――という前提に立ちながらも、「当面の経過的措置」として「音楽CDからの録音や、デジタル放送の録画については補償金でカバーすることを検討すべき」としている。 従来、補償金が課金されていたのは、MDレコーダー、DVDレコーダー、MD、DVD-RWなど、録画・録音機器とメディアが別々にな
日本芸能実演家団体協議会や日本音楽著作権協会(JASRAC)などの著作権関連89団体は2008年4月4日,私的録音・録画補償金制度の見直しに関する今後の議論について意見を表明した。文化庁文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会は2008年4月3日に2008年度の第1回会合を開催し,補償金制度の見直しについての議論を再開した。前年度の議論を通じて,「現行の補償金制度の対象を縮小し,ほかの方法による解決に移行すべき」という方針を固めた。 これに対して89団体は,「これまで我々は,音楽配信事業についても補償金制度で対応すべきと主張してきた」(実演家著作隣接権センターの椎名和夫運営委員)とこれまでの立場を説明したうえで,「消費者の利便性を損なうことなく,権利者の不利益が発生しない形が実現するのであれば,権利者側としても大きな前進」と小委員会の議論を尊重する姿勢を示した。さらに,「(現在の状況は
文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」の今期(第8期)第1回会合が4月3日に開かれた。前期に引き続き、「DRMの普及を前提に、録音録画補償金を縮小していく」という方向で議論を進めることで合意。早ければ5月中に方向性を決め、8月にも報告書をまとめて早期の法改正を目指す。 前期の小委員会では、違法複製物からの複製(ダウンロード)を、著作権法第30条の適用範囲から外して違法とすべき、という、いわゆる「ダウンロード違法化」も議論してきた。これについては前期の中間整理の段階で「違法とすべきという意見が大勢であった」という方向性が固まっている。 ダウンロード違法化については一定の方向性を得たとし、今後の議論では中心的には扱わない方針。今期は補償金制度のあり方について具体的に詰め、ダウンロード違法化と合わせた法改正を目指していく。 「DRM普及すれば補償金を縮小」の方向で
私的録音録画小委員会:「ダウンロード違法化」不可避に - ITmedia News http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/18/news065.html 「ダウンロード違法化」がほぼ確定,録音録画に加えソフトウエアも対象に,私的録音録画小委員会で文化庁が方針を示す - 産業動向オブザーバ - Tech-On! http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071218/144359/ 私的録音録画小委員会:反対意見多数でも「ダウンロード違法化」のなぜ (1/2) - ITmedia News http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/18/news125.html ダウンロード違法化は「やむを得ない」、文化庁著作権課が見解示す http://intern
文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会に設けられた「私的録音録画小委員会」の第15回会合が12月18日に開かれ、「著作者に無許諾で動画や音楽をアップロードしたサイト(以下「違法サイト」からのダウンロード(※注:「ニコニコ動画」「YouTube」などでのストリーミング視聴は含まない)」を、著作権法30条で認められた「私的使用」の範囲から外し、「違法サイトと知ってダウンロードした場合は違法とする」という方向性がまとまった。(→詳細記事「反対意見多数でも『ダウンロード違法化』のなぜ」 ) 小委員会ではこれまで、30条の適用範囲について、権利者側、消費者側の意見が対立してきた。権利者側は「違法サイトからのダウンロードで多大な経済的損害を受けている。(現行法でも違法となっている)アップロードだけでなく、ダウンロードも違法にすべき」と主張。消費者側は「経済的不利益は実証されておらず、違法化するこ
映像・音楽に関する28権利団体からなる「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」、および日本芸能実演家団体協議会加盟59団体は12月17日、都内で共同記者会見を行った。デジタルコンテンツのコピー回数を1回に制限するコピーワンスルールの改善に伴って私的録画保証金制度をどう取り扱うかという点について、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が権利者会議らの質問状に答えない姿勢であることに対し、強い遺憾の意を表明した。 共同記者会見は、11月9日付けでJEITAに提出した公開質問状に対する回答期限が12月7日に切れたにも関わらず正式回答が寄せられていないこと、また回答期限当日付けでニュースサイト「INTERNET Watch」に掲載された記事において、JEITA側の担当者が回答する気がない旨の発言をしていることを受けて行われたもの。 また、12日付けでJEITA会長の町田勝彦氏から、「(18日
左から実演家著作権隣接センターの松武秀樹さん、JASRACの菅沼端夫さん、実演家著作隣接権センターの椎名和夫さん、日本音楽作家団体協議会の小六禮次郎さん、日本映画製作者連盟の華頂尚隆さん 日本音楽著作権協会(JASRAC)など著作権者側の87団体は12月17日、電子機器メーカーの業界団体・電子情報技術産業協会(JEITA)に対して11月9日に送付した、私的録音録画補償金問題についての公開質問状で、回答期限の12月7日までに返答がなかったとし、「極めて遺憾で憤りを禁じ得ない」などと表明。誠意ある対応を改めて求めた。 私的録音録画補償金問題については、権利者側とJEITAの主張が対立している。権利者側は、地上デジタル放送の録画ルールの緩和には補償金制度が必須だとし、「ダビング10」の合意にも補償金制度の継続は含まれているという立場だ。 だが合意後、JEITAは「DRM(デジタル著作権管理)があ
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