談志が死んだ! そうか、とうとう…そう思った。 ここ数年の高座では、まず最初に「死ぬ」ことの小咄から始まっていた。あまりにも死ぬ死ぬといいながら復活するので、もしかしたら死なないのじゃないかとも思っていた。 本書は今年6月に出た立川志らくの新刊を新潮社のPR誌「波」で書評したものを再掲。 立川流の弟子たちは総じて筆が立つのだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 私の回りにはなぜか談志嫌いが多い。父も母もイヤミなところが鼻に付くと今でも嫌いらしい。夫は関西出身者で根っからの上方落語派。落語会に誘っても「フンっ」とそっぽを向かれてしまう。 そんな環境なのに、私は昔から談志の落語が好きだった。クールでスマート、スタンダップ・コメディという言葉も談志から学んだ。数年前の年末に「芝浜」を聞いたのは自慢の一つだ。 立川志らくの新刊『落語進化論』は「師匠に捧げる讃歌」である。立