すっかり陽も傾き窓の外は明かりの灯り始めた街が夜が来るのを待っているように見える。ベッドに腰掛けてギターの弦を張替えながら、クローゼットの前に置かれた姿見越しに彼女の様子を見るとすっかり支度は済ませていたが、虚ろな眼差しで所在なさげにドレスの襟を触っている。どうしたんだ?と声を掛けると、肩を震わせながら顔を背けてしまった。なぜ泣くのかと問うと、あなたはいい気なものね、と泣きながらそうつぶやいた。ギターを脇に置いて彼女に近づこうと立ち上がると、来ないで!と叫んでその場に崩れるように座り込んでしまった。一体なにがどうなっているのかわからないまま彼女の傍へ行きしゃがみこむと、不意に体を反転させて勢いよく抱きついてきたのでそのまま仰向けに倒れた。そして馬乗りになった彼女に頬を2回強く打たれた。3回目の手を振り下ろしたときに両手首を捕まえると今度は彼女の両目から大粒の涙が俺の頬をポタンポタンと何度も