ゆとり世代の腹田君は期待の若手営業部員だ。「新卒時に500社まわったがどこも自分の居場所じゃない気がして『全社自分から蹴り』、一年間定職につかずスーパーフリーな立場で大学のテニスサークルに残り自己研磨していた」気概を面接を担当した部長に買われて入社した逸材。「刃の鋭さが仇になってどの会社からも敬遠された若い頃の俺によく似ている…」と濁った目を細める部長に、ヤング部長に酷似…僕が一抹の不安を覚えたのは言うまでもない。 僕の懸念などよそに、腹田君の営業部員としての仕事ぶりは、意外にも優秀だった。やたら「ぶっちゃけチョーやばいっす」と言って「仕事上危機困難に直面しているが鋭意努力して遂行中」をアピールするのが鬱陶しいのをのぞけば駆け出しの営業部員としては合格点だった。 だった、と過去形になったのは、休日出勤の際、さいわい同僚に見つかり未遂に終わったが、女子大生の彼女を会社につれてきたからだ。僕が