黒い勝間和代の旅 二〇四五年。たぶん。カレンダーどころか壁紙すらも貼られていないこの無味乾燥な牢獄にブチ込まれて、俺が毎日かかさずに記録をとってきたところによれば、いまは二〇四五年の一月十六日だ。この日付は俺がここにちょうど二年間、ブチ込まれ続けていることを意味する。その間、俺が浴びてきた光とは、天井にぶら下がった裸電球と、鉄格子つきの窓から漏れてくる外の空気だけだ。俺がいまどこにいるのか、それは俺にもわからない。とにかく窓から見える景色は、水平線ばかりでなにも手がかりはない。波の音は常に聞こえてくる。どうやらここは、太平洋だか大西洋だか(もしかしたらインド洋かもしれない)に浮かぶ孤島の地下に作られた監獄らしい。そんなものが地球上に存在するなんて、俺は実際にここにブチ込まれる日まで、ちっとも知らなかった。 この手紙は、その監獄の窓から便箋を紙飛行機のかたちにして飛ばしたものだ。本当ならば、