再開発ラッシュが続く日本経済の中心地、東京・大手町で築六十年のオフィスビル「大手町ビルヂング」が、「低層、横長」のレトロな姿をそのままに改修・保存されることになった。周辺では最古級の名物ビルで、三菱地所が長年、本社にしてきた。超高層ビルの谷間で、高度経済成長期の記憶を伝える役割を担う。 (神野光伸) 大手町ビルは一九五八(昭和三十三)年に完成。国内初の全館冷房など当時としては最新鋭の設備を誇った。高さ三十一メートルで地上九階地下三階建て。約百四十の企業・団体のほか、商業テナント約六十店が入居する。三菱地所によると、東西約二百メートルの細長い敷地に立ち、その規模から、かつて「東洋一のビル」といわれたという。 隣接する丸の内地区も含め、昭和に建てられたオフィスビルが続々と百~二百メートル級の超高層ビルに建て替えられる中、低層で横長のレトロビルは存在感を放つ。大手町・丸の内地区のオフィスビルでは