池内恵(いけうち さとし 東京大学准教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について、日々少しずつ解説します。有用な情報源や、助けになる解説を見つけたらリンクを張って案内したり、これまでに書いてきた論文や著書の「さわり」の部分なども紹介したりしていきます。
池内恵(いけうち さとし 東京大学准教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について、日々少しずつ解説します。有用な情報源や、助けになる解説を見つけたらリンクを張って案内したり、これまでに書いてきた論文や著書の「さわり」の部分なども紹介したりしていきます。
「イスラム国」による日本人人質事件について思ったことをとりあえずブログに記しておきたい。 ツイッターのほうではすでに前もってコメントしたが、72時間の期限でのリアクションはないだろうと私は見ていた。理由は、どちらかというと「イスラム国」に対して欧米ほど危機感ももたず、脅威にも感じていない日本国民を、期限通りの処刑によって激怒させ、その結果いっそう欧米側に付かせることにすれば「イスラム国」にとって利益にはならないだろうと思われたからだ。 「イスラム国」としては国際世界が一致するよりは、割れていたほうがよい。この手法は北朝鮮の外交戦略と同じである。ついでにいえば、西側諸国としても中東の利害は割れていたほうが、ローマによる分割統治的な意味合いで、利益にはなる。ただしシリアに端を発した今回の事態は三すくみのような複雑な分割にはなり、誰が利益かという構図は崩れてしまった。 「イスラム国」側の思惑だが
いま、若い方々を中心に、公的年金に対して「自分たちの世代では、払った保険料が戻ってこない(受け取れる年金額<払った保険料)のでは?」という、損得に関する意見が聞かれます。 また、「今の受給者と現役世代では、給付される年金額に大きな差がある」という、世代間の差についての意見もあります。 これらの意見の中には誤解もありますが、そもそも公的年金制度は、現役世代が受給世代を扶養する「世代間扶養」の仕組みのもとで運営されている、社会保障制度です。本来、個人や世代の差による損得を論じる性質のものではありません。 しかし、高齢になったとき、あるいはご自分の身になにかあったときの生活を支えるものとして、重要な課題だと考える方も多いと思います。 うーん、損得じゃないって言われてもやっぱり気になるよ そうですね。では問題を分けて ・そもそも公的年金のメリットはなにか(若い世代は本当に損なのか) ・具体的に世代
無所属の山本太郎参議院議員が生活の党に入党することが12月26日に分かった。山本議員が入党したことにより党名を「生活の党と山本太郎となかまたち」に変更する。 山本太郎参議院議員 総務省の報道資料によると、「政治資金規正法に基づく政治団体の届出」が提出されており事実のようだ。代表者は変わらず小沢一郎氏が務める。 自身のブログでも入党について「永田町で山本太郎、と言う野良犬が保護されました。いつ殺処分にされるか判らない状態の野良犬を保護したのは、小沢一郎さん(72歳)」と切り出し応援者に説明している。「一人でやれる事、やれない事、この1年半の議員生活でよく理解しました」と今後は活動の場が広がると意欲を表明している。この件に関しての記者会見は、次期通常国会開会前に行うとしている。 総務省に提出した届出をご覧ください advertisement 関連記事 政党名が問題視された「支持政党なし」、獲得
まっすぐであれば、松戸の出会いの後冷凍庫に戻った後、それがどれほど衛生的であるかについての不安もあるので、あな […] もっと読む »
新党「棄権」過半数迫る勢い 衆院選・情勢調査 これは嘘ニュースです 14日投開票の衆院選について、本紙では6・7日両日に電話調査を実施し、選挙戦中盤の情勢を調査した。その結果、現時点では棄権票獲得を目的に立ち上げた新党「棄権」が単独過半数238議席に迫る勢いを見せる一方、自民、公明、民主他既存政党が軒並み現有議席を大きく減らす見通しであることが分かった。「棄権」は今後前回の衆院選で結党した新党「白票」との連立政権を模索するとみられる。 調査は全国約12万人の有権者を対象に、小選挙区と比例区からそれぞれ投票する予定の候補者名、政党名を尋ねた。ただし、まだ投票態度を明らかにしていない人も2割以上いることから、今後情勢が変わる可能性もある。 今回の調査において最も多かった回答は「棄権する」で、前回衆院選の投票率を大きく下回りそうだ。これまで棄権は票として数えられなかったが、告示前日に結党した新党
金曜の昼過ぎ、だらだらと霞ヶ関から永田町へと歩いていたら、何やらテレビクルーで騒がしい。さっきスマホに衆議院解散ってプッシュ通知が入ってたな、もし自分の仕事がボスの一存でチームごと解散になって面接からやり直しだったら困るなと、数日前にFacebookで深刻な書き込みをしていた議員さん達の顔を思い浮かべ、480人のうち何人が議員会館に戻ってこれるだろうと思案しながらトボトボと歩いた。つくづく政界一寸先は闇とはよくいったものだ。 内閣不信任決議が出た訳でもない、野党が嫌がってるのに衆議院解散は制度の趣旨に反する気もするが、新憲法の施行から数年で抜き打ち解散とかやってた訳だから、何も今に始まった話でもない。だいたい戦後の混乱のなか日米いりまじって短期間でつくった憲法に、それを遵守させる構造が備わっていないのだから仕方がない。 社会科の教科書では裁判所が違憲立法審査権を持ってると教わったけど、現実
アベノミクスは、消費税10%への再引き上げを見送ったという点では財政再建の面からも、デフレ脱却で力強い経済成長の道筋を示すという面からも失敗に終わりつつあると考えてなんら問題ないでしょう。 いろんな意味で、できることは全部やったのが安倍政権であり、日本人にとっては打った博打が外れてオケラ街道を歩くことになった現実を受け入れざるを得ません。それでも前を向いて改革を安倍政権に託すか、改めて非自民の力量に期待して再度の政権交代を目指すか、「どちらが悪くないか」という異常に消極的な選択を有権者は迫られることになります。 巷では、アベノミクスがどうのこうのというより、ごく単純にリセッション、景気循環における不況に陥っているのではないかという見方も出てくるようになりました。ただ、低成長を長らく続けてきた日本は、悪い意味で不況慣れしており、苦しいデフレ環境下で慎ましく暮らす方法に長けてしまったとも言えま
特定方面にセンシティブなタイトルを付けてみましたが、本件に関して言えば突然密漁が始まったわけではなく、また自然発生的にさんごが密漁されたということでもないので、中国の海洋当局の黙認ないしは何らかの指示があってのものであることは自明であります。 中国のサンゴ密漁船か、伊豆諸島沖で120隻確認 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141101-00000031-asahi-soci 外務省も3日前に中国政府に申し入れをしているわけなんですが、恐らく何の効果もないか、何らか動きがあるのは数ヵ月後になると思います。というのも、中央政府の中南海に幾ら言っても、各地方の軍閥化した担当者にまで話が降りて妥結するまでに時間がかかるからです。 外務省、サンゴ密漁で中国に申し入れ http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/141030/
10月20日、小渕優子・経済産業大臣と松島みどり・法務大臣が辞任した日、日経平均株価は578円も値上がりした。今年最大の上げ幅だ。 経済と法律を司る資本主義の要とも言える省庁のトップが転んだ日に株価は大きく上がり、二人の大臣が(幸か不幸か)日本の経済に何ら影響を与えていないことが証明された。 政治家がお金に対して清潔であるべき事は言うまでもないが、それも結局は一人の政治家に問題があったというだけの話だ。国を挙げて大騒ぎするような事では全くない。 少なくとも二人の辞任で困っている人は国民の中で0.1%も居ない。小渕氏辞任で悲しんでいるのは来年から観劇ができなくなった地元支援者だけではないか。 ■女性の社会進出はどうなる? 今回の問題が女性の社会進出に影響を与えるかのように説明する人も居る。無理に女性を登用するからこんな問題が起きたんだと。 二人の大臣が女性だから選ばれたという側面は、あるかな
日本の捕鯨問題は微妙な問題だと思う。個人的には、各国から捕鯨はやめろ言われているのだし、日本にとって捕鯨がさほど重要だとも思えないので、やめればそれで終わりではないかという印象はある。が、少し考えると、なかなか実態は複雑だなと思える。考えるに怯むという感じもする。なのでごく簡単に、3月31日国際司法裁判所(ICJ)下された判決あたりから振り返ってみる。 今回問題となったのは、2005年から実施されている第2期南極海鯨類捕獲調査事業(第2期調査)の実施についてである。判決は、南極海に限定されるが、第2期調査の実施を差し止め、さらに今後は日本政府の調査計画も差し止めるというものだった。 なぜこうなったかだが、前提は、科学的な調査は認められるが、商業捕鯨は認められない、ということ。そこで第2期調査の実態を見ると、日本側の科学的な調査ではないと判断された。だったら、実質商業捕鯨になっているではとい
シンガポールを車で15分ほど走っただけで、世界中からお金が集まっているのが分かります。5車線の広い高速道路、他のアジアの国とは比べ物にならないほどの清潔感、そしてフロリダの別荘のようなマンションが見渡す限り立ち並び、これが一つの国だとはとても思えません。 ↑5車線の高速道路 シンガポールの元首相、リー・クアンユーに国の政策についてアドバイスしたのは元マッキンゼーの大前研一さんだったと聞いたことがありますが、もし大前さんが1995年に東京都知事に当選していたら、日本の国際化はシンガポールのようにもっと進んでいたかと思うと少し胸が痛いです。 シンガポールでのAirBnBのホストはオーチャード・ロードにある高島屋で働く中国系のジュリーでしたが、自宅の豪華さに圧倒されてしまいました。 ↑マンションの入り口 共有ではありますが、別荘並みのプール、ジム、そしてテニスコートが完備され、敷地内にはスーパー
イスラエルとハマス(ガザ地区にあるパレスチナ人の組織)間での爆弾攻撃が激しくなっています。 当然ながら多くの民間人犠牲者が出ているし、それぞれの国の子供が相手側の大人に虐殺されたり、地上戦も始まるかもという緊迫した状況です。 このエリアの紛争は今に始まったことではありませんが、私は 1995年頃にこの地域を“観光客”として訪れているので、それなりに平和な時期も断続的にはあるんです。 でも何かのきっかけがあると、スグに爆弾が飛び交い始める。 イスラエルは先進国だし、なによりアメリカの全面的な支援を受けています。 てか、事実上アメリカの飛び地領土的な国ともいえるくらいなので、常に最新鋭の軍事力を備えています。 一方ガザ地区のパレスチナ人は、そもそも国家自体がまだ成立してないから全員が難民とも言える状況だし、産業もなく極めて貧しいエリアです。 私は当時、バスでイスラエルの支配地から(ガザ地区では
エンパイアステートビルもロックフェラーセンターも後回しにして、私は911メモリアル・パークを訪ねた。なぜなら、そこが「21世紀の始まった場所」だと思うからだ。 20世紀は1904年2月8日の旅順港で始まった。日露戦争は世界初の国家間の近代戦争であり、「国家と戦争の時代」という20世紀の特色を決定づけた。一方、21世紀は「個人の時代」である。この時代を決定づけた事件があるとすれば、それは間違いなく9.11米国同時多発テロだろう。21世紀はニューヨークで始まった。 20世紀は「国家と戦争の時代」だった。 二度の世界大戦と多数の紛争により、国境が何度も書き換えられた。近代戦争は総力戦であり、勝利には国民の協力が欠かせない。だから国家が強い権限を持ち、国民の権利を制限することもいとわなかった。その最たる例は、第二次大戦中の日本軍のカミカゼだろう。程度の差はあれ、あらゆる国家が強制力を持ち、国民を統
塩村都議:東京は、都会であるがゆえに周囲との関係が希薄で、女性が妊娠、出産、育児にかかわる悩みを一人で抱えてしまうという弊害があります。(中略)妊婦さんを支える仕組みはとても重要であり、私も所属をする厚生委員会で、この件についての充実をお願いをしてきました鈴木章浩都議の声:早く結婚した方がいいんじゃないか男性の声:自分が産んでから男性の声:がんばれよ(議場で笑いが起きる)塩村都議:今後、妊娠、出産に関して男性の声:動揺しちゃったじゃねえか塩村都議:悩みを抱える女性たちの問題に対し(中略)具体的な取り組みをお願いいたします。男性の声:いやー、先生の努力次第塩村都議:また、不妊の原因は女性だけではなく男性の声:やる気があればできる塩村都議:男性にも原因があります。男性の協力を得る難しさから、悩みが大きくなる女性たちのサポートも必要です
自分の関心事からというと、現下のニュースでは、栃木女児殺害事件で「特徴が一致する車が少なくとも3か所の防犯カメラに写っていた」(参照)として容疑者が起訴になったことのほうが重要だけど、このところ扱ってきたせいもあるが、塩村文夏都議会議員へのヤジ・セクハラ問題で名乗り出があったとこに関連して、補足の雑感を述べておきたい。 この名乗り出で私が一番落胆したのは、自民党の石破幹事長の次の対応だった。NHK「石破氏「責任者としてお詫び」」(参照)より。発言部分を太字で強調して引用する。 自民党の石破幹事長は、記者団に対し「気持ちを傷つけられた人は、塩村議員本人だけではなく大勢おり、自民党の責任者としてお詫びする。結婚したくても、できない人たちのためにも、党全体として、さらに強力に政策の実現に取り組む」と述べました。 これだと、「結婚したくても、できない人たち」に「早く結婚しろ」と言うのは結婚したい気
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