ついに米国で、実用品のデザインと著作権に関する待望の連邦最高裁判決が下された。この判決はこれまで長きにわたり激論の交わされてきたトピックについて連邦最高裁としての判断を示すもので、その重要性は非常に高い。そこで本エントリでは速報として、この判決の内容について簡単に紹介したい。 背景 米国では、実用品のデザインについて、一言で言うと「実用面と分離できる」ことを条件に通常の著作物と同様に保護するというルールが明文化されている。 米国著作権法101条(抜粋)(和訳はCRIC 外国著作権法 アメリカ編より) 本条に定義する実用品のデザインは、当該物品の実用面と別個に識別することができ、かつ、独立して存在しうる絵画、図形または彫刻の特徴を有する場合にのみ、その限度において絵画、図形または彫刻の著作物として扱われる。 the design of a useful article, as defined
正直に言うと、この記事をどう書いたものか迷っている。事件としては既に一区切りついてしまって、特にできること、呼びかけられることはない。また私が政治や法律にてんで疎いこともあり、そういった方面のアプローチもできない。ただ、英語圏SFの紹介を拙いながらも行っている人間として、この一件は書いておかねばならない気がするのである。 カナダにピーター・ワッツというSF作家がいる。本業は海洋学者であり、そのキャリアからくる科学的に裏打ちされた緻密な設定とテクノロジーによって人間のたがが外れたディストピア的世界観、そうした世界での倫理など、複雑で陰鬱なテーマを描く現代有数のハードSFの書き手として高い評価を受けている。代表作である長編 Blindsight はちょうど日本で開催された2007年のSF大会でヒューゴー賞にノミネートされた*1。ファーストコンタクトという古典的テーマと意識や知性の本質といった現
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