話し合いの場で、相手の強引な主張に押し切られたり、つい譲歩してしまう。そういう経験のある人は「自分は気が弱いから、交渉に弱い」と考えているのではないだろうか。しかし、今年3月に発売された書籍『弁護士が教える気弱なあなたの交渉術』(だいわ文庫)の著者である谷原誠弁護士は「気の弱い人のほうが、交渉はうまくいきます」と断言する。その極意はどこにあるのか、谷原弁護士に聞いた。(取材・構成/具志堅浩二) ●気の弱い人は相手の話を聞くことができる 「交渉で大事なことは、相手に勝つことではなく、自分にとって、いかにメリットのある結果を導き出すかです。まず、そういう方向に意識を変えることがポイントです」 たとえば、ある従業員が経営者に対して「給与を上げてほしい」と要求したとする。ここで、単純に勝ち負けだけを考えると、給与を据え置きにすれば経営者の勝ち、ということになる。 だが、その従業員が優秀な人で、給与