「特許係争は企業にとってリスクだけではない。学ぶべきことがある」。先ごろ開かれた「国際特許流通セミナー2004」の「企業リスクマネジメント−係争回避の手段としてのライセンシング」セッションにおいて,米Texas Instruments Inc.の日本法務知的財産本部長である鈴木邦三氏は,半導体分野の特許係争として特に有名なキルビー特許の日本での取得,ライセンスおよび訴訟を担当した経験を踏まえ,日本の特許訴訟とライセンス交渉のあり方を論じた。 半導体分野では「完全な特許の独占はありえない」 鈴木氏によれば,数mm角のSiチップの中に数多くの特許を使用し,複雑で多彩な機能を発揮するエレクトロニクス製品に組み込まれるため,半導体分野においては「完全な特許の独占」はあり得ない。このために特許のライセンスが重要であり,その歴史は50年におよぶと指摘する。 特許交渉が難航する原因は,双方が数万に