長寿社会というと、多くの日本人はネガティブな印象をもっているのではないでしょうか。認知症や孤独死などの問題がメディアでも取り上げられ、「老後」というと何となく不安感が漂う。でも『ライフ・シフト』は長寿社会をポジティブに捉えているところが今までになかった視点で、面白いと思います。 日本でも、大企業に就職できれば一生安泰という時代は終わりました。グローバリゼーションで業界構造も様変わりしましたし、昔のように企業にぶら下がっていれば何とかなる時代ではなくなりました。しかも100歳ライフなら定年後の人生は約40年も続く。その間どう生きていくのか。 じつのところ、日本の産業構造は、それを考える仕組みにはなっていません。役所でも大企業でも、専門性がないまま定年を迎えてしまう人が多い。たとえば大企業の出身で、外回りや管理部門をひと通りやって「私はゼネラリストだ」と胸を張る人がいる。しかし人材コンサルタン