相撲の世界には「格」がある。例えば、新進気鋭の若手力士が横綱と初対戦するときに、多くのファンは、若手が横綱を倒す夢を見るが、その夢はたいてい叶わない。そういうとき勝った横綱は「まだ顔じゃないよ」と言う。 「顔」イコール「格」であり、「格」という言葉はやすやすと使ってはいけない。表現を変えるならば、「格」イコール「信用」ということだ。格下は格上の人の強さを心密かに信じている。だから本当に「格」が違う場合は、まず間違いは起こらない。相撲に限らずスポーツの世界は「格」がもの言う世界だと思う。 ところが、この「格」という言葉を形容詞のように安易に使っているメディアが多い。テニス報道が特にひどい気がする。テニスの記事を丹念に拾っている方なら「またか!」とうんざりしているのではないだろうか? 錦織圭の活躍によって、新聞スポーツ面でのテニス記事のスペースが大きくなったことは本当に喜ばしいことだが、その内