十 日本共産党の日本人民共和国憲法(草案)(一九四六、六、二九発表) 前文 第一章 日本人民共和国 第二章 人民の基本的権利と義務 第三章 国会 第四章 政府 第五章 国家財政 第六章 地方制度 第七章 司法 第八章 公務員 第九章 憲法改正 前文 天皇制支配体制によつてもたらされたものは、無謀な帝国主義侵略戦争、人類の生命と財産の大規模な破壊、人民大衆の悲惨にみちた窮乏と飢餓とであつた。この天皇制は欽定憲法によつて法制化されてゐた様に、天皇が絶対権力を握り人民の権利を徹底的に剥奪した。それは特権身分である天皇を頂点として、軍閥と官僚によつて武装され、資本家地主のための搾取と抑圧の体制として、勤労人民に君臨し、政治的には奴隷的無権利状態を、経済的には植民地的に低い生活水準を、文化的には蒙昧と偏見と迷信と盲従とを強制し、無限の苦痛をあたへてきた。これに反対する人民の声は、死と牢獄とをもつて威