灰色の肌をした栄養不良の子供たちが、給食を「ポケットに詰め込んでいる」――。英イングランドとウェールズ各地から集まった小学校の校長たちはそう証言する。 校長たちは、一部の児童たちは見るからに様子が異なると話す。ある校長は、「私の(学校の)子供たちは、肌が灰色で、歯や髪がぼろぼろ、ほかの子たちよりやせている」と語った。
慈恵病院と熊本市が内密出産制度について話し合った意見交換会=熊本市中央区の熊本市役所別館で2018年1月30日、城島勇人撮影 子供を育てられない母親が匿名のまま病院で出産できる、「内密出産制度」の導入を求める動きが広がっている。「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を運営する慈恵病院(熊本市)のほか、熊本市や指定都市市長会も制度の必要性を訴え、関連法の整備も求めている。ゆりかごを設置する各国の関係者が集まる本格的な国際シンポジウムが14日、国内で初めて熊本市で開かれ、この制度についても議論される予定だ。 慈恵病院によると、病院に預けられた乳幼児は、2007年の運用開始から昨年までの約10年間で計130人。うち約半数が自宅や車など病院以外で産む危険な「孤立出産」だった。子供の出自を知る権利の問題も浮かび上がっている。
18歳未満の子供がいる家庭の室内や自動車内でたばこを吸わないよう求める東京都の「子どもを受動喫煙から守る条例」が1日、施行された。罰則はない。家庭などの私的空間の喫煙を規制する全国初の条例として昨年10月成立した。 条例は「子どもは自らの意思で受動喫煙を避けることが困難で、保護の必要性が高い」として、たばこの煙から守ることが都民の責務と記載。喫煙者は学校周辺の路上や公園で、子供が煙にさらされないよう努めなければならないとした。 保護者には、受動喫煙の防止措置がされていない飲食店や施設などに子供を立ち入らせないよう求めた。東京を訪れた都外の人も対象になる。 条例は小池百合子知事が事実上率いる「都民ファーストの会」などが議員提案。私的空間まで制限対象にすることには喫煙者から疑問の声も上がっていた。
子宮頸(けい)がんなどを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの定期接種の積極的呼び掛けが2013年に一時中止されてから、6月で丸5年になる。厚生労働省の有識者検討会では、勧奨の再開についての結論は出ていない。同ワクチンの有効性、安全性を巡る最新の状況をまとめた。【高野聡】 HPVは性交渉で広がる病原体で、約100種類の型がある。がんになる高リスク型は15種類。感染しても9割は免疫で排除されるが、感染が持続した5~10%で、細胞の異常が起こり、がんになる場合がある。日本では高リスクの16型と18型に効くサーバリックスと、6型、11型を加えた4種類に効くガーダシルが承認されている。16型と18型は日本の子宮頸がんの6~7割に関係する。 同ワクチンの開発段階の臨床試験では、がんの前段階の異常減少で有効性を確認したため、がん発症まで追跡していない。だが、多くの専門家は「前段階の異常が減
エール8期生の(左から)伊達智子さん、森田菜帆さん、大谷沙也加さん、西本ひかるさん、原本実佳さん=岡山市北区で2018年3月10日午後9時27分、林田奈々撮影 当事者と同じ目線に立って支援する「ピアサポーター」として、インターネット掲示板で性に関する悩み相談を8年にわたって受け付けている大学生グループがある。養護教諭を目指す岡山大4年生でつくる「ELL」(エール)。産婦人科医の指導を受けながら、時に悩みながらも相談に真剣に向き合っている。【林田奈々】 「性感染症の検査をしたいけど親にばれるのが心配」「性器の形がおかしいのでは」「周りは彼氏ができているのに私だけできない」「生理が遅れて不安です」-。エールが運営する掲示板には口にしづらい悩みを抱えた人たちが相談を寄せる。メンバーは順番に回答を担当し、返信する。 エールの活動が始まったのは2010年。きっかけは、岡山市内で産婦人科のクリニックを
旧優生保護法(1948~96年)下で知的障害を理由に不妊手術を施された宮城県の60代女性が「重大な人権侵害なのに、立法による救済を怠った」として、国に1100万円の損害賠償を求めた全国で初めての訴訟の第1回口頭弁論が28日、仙台地裁(高取真理子裁判長)で開かれ、国は請求棄却を求めた。女性の弁護団団長は意見陳述で「子供を生み育てるという自己決定権を奪い取る手術で、憲法で保障された基本的人権を踏み
出産直後に母親が肌を合わせて新生児を抱く「早期母子接触」(カンガルーケア)で脳に重い障害が残ったとして、滋賀県草津市の男児(4)と両親に対して同市内の医療法人側が解決金を支払う和解が27日、大津地裁(西岡繁靖裁判長)で成立した。両親らは約1億6000万円の損害賠償を求めて提訴していたが、解決金額は非公表。原告側代理人によると、病院側の責任を認めた実質勝訴としている。 訴状などによると、30代の母親は2013年4月、医療法人が経営する市内の産婦人科医院で男児を出産。男児の頭を左腕に乗せ向き合った状態で過ごしていたところ、男児の心肺が停止し、脳性まひを発症した。
厚生労働省は2020年度から、子どもの健康状態と生活習慣病などの関係を分析するためのデータを作る。乳幼児と小中学生の健康診断データを電子化し、匿名にしたビッグデータを大学などの研究機関に提供する。将来の病気につながりやすい若い時期のリスクを評価し、施策に役立てる。地域差も分析し、効果の高い医療施策の全国展開につなげる。子どもの健康に関する情報は身長や体重、視力などの基本データのほか、予防接種を
60代女性に開示された手術記録の一部のコピー。手術理由に「遺伝性精薄(精神薄弱)」、手術方法に卵管を縛る「マドレーネル法」とある=宮城県内で2018年3月24日、遠藤大志撮影(画像の一部を加工しています) 宮城県の60代女性が、全国初の国家賠償請求訴訟を仙台地裁に起こすことにつながった同県の「優生手術台帳」は、女性が開示請求する4カ月前の2017年2月下旬、子育て支援課で発見されていた。きっかけは、厚生労働省からの調査要請だった。 発見数日前の同22日、日本弁護士連合会が、旧優生保護法(1948~96年)下で強制不妊手術を受けたという宮城県内の70代女性の人権救済の申し立てを受け、被害者への謝罪や補償を求める意見書を厚労省に提出した。その記録の有無などを確認するため、同省担当者が宮城県に電話をしたのだ。 指示を受けた子育て支援課の相沢明子課長補佐は、文書管理目録にある「優生手術台帳」を捜し
1940年生まれ。朝日新聞社でワシントン特派員・論説委員などを務めて定年退社。『週刊金曜日』編集長の後、フリーに。2016年6月、『週刊金曜日』に書いた「ひろがる『香害』」でこの問題を掘り起こした。その後『香害 そのニオイから身を守るには』を17年年4月出版し、消費者団体が「香害110番」を開くなど、社会的な取り組みが始まっている。他に『ミツバチ大量死は警告する』(集英社新書)など。 香害ウォッチ 「香害」という新たな公害の存在が注目されています。柔軟剤などに含まれた微量の化学物資に反応して、頭痛がしたり息が苦しくなったりして、仕事ができず、退職せざるを得ない人たちもいます。香りなどを売りにしたさまざまな商品が開発される現代社会の生み出した“病”です。職場や家庭で広がる香害の実態をお伝えします。 バックナンバー一覧 「香害」とは、香りつき商品の成分で「化学物質過敏症(MCS)(注1)」や「
NPO法人ホープツリーは、親ががんになった子どもたちのサポートプログラムを開いています。「クライム」というその活動に、どんな思いを込めたのでしょうか。ホープツリーの代表で、医療ソーシャルワーカーの大沢かおりさんに聞きました。 患者さんや、そのご家族の相談に対応する医療ソーシャルワーカーになったのが1991年。そのときは「がん」も「子ども」も専門分野ではなく、病院内でただ1人のソーシャルワーカーとして多くの患者さんの悩みの相談を受けていました。転院先を探したり、退院後の生活プランを組み立てたり。内容はさまざまでした。 ただ、こうしたケアは患者本人に対するものだけです。病院内で患者の子どもに対するケアが全くできていなかったことが、心に引っかかっていました。 おおさわ・かおり1967年、神奈川県生まれ。上智大文学部を卒業後、91年から社会福祉士として病院に勤務。2008年、がんになった親とその子
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