歌声を楽器のように扱える、音声ソフトウエアの「ボーカロイド」。多くのファンに支持され、現在第一線で活躍する音楽プロデューサーやアーティストも、ボーカロイドを使い多くの楽曲を作っていた。開発者の剣持秀紀氏にボーカロイドの開発背景やビジネスの転換点を聞いた。(聞き手・昆梓紗) 連載・先駆者に聞く:新たな学問や文化の領域を切り開く先駆者たち。彼らはなぜその分野を開拓してきたのか。6人の先駆者の声に耳を傾けた。 リアルな歌声目指す ―2000年にボーカロイドの開発がスタートしました。 当時はパソコンの性能向上とともにいろいろな楽器が打ち込み音源になっていきましたが、唯一残されていたのが歌声でした。歌声の打ち込みもできるのでは、ということで「リアルな人間の歌声ときちんと歌詞を聞き取れること」を目指し、バルセロナのポンペウ・ファブラ大学との共同開発をスタートしました。 ボーカロイド以前にも歌声を打ち込