<1>ダリアの帯(大島弓子著/「大島弓子が選んだ大島弓子選集5」所収/メディアファクトリー、MFコミックス/1000円) <2>ロングロングケーキ(大島弓子著/白泉社文庫/610円) <3>ロスト ハウス(大島弓子著/白泉社文庫/590円) 少女マンガは、少女の理想を描く。では、この少女とはどういった存在なのか。本来なら年若い女子のことを少女と呼ぶが、私はそれに違和を覚える。大島弓子は生粋の少女マンガ家である。その彼女の作品は少女にしか理解できない特権的なものではないからだ。少女とは誰もが持ちうる性質のことで、男でも女でも若くとも老いていても、誰でも持っているもの。それが少女の本質ではないのだろうか。 思春期に私は大島の作品に出会うことができた。それは幸せな読書体験であった。世界の何処(どこ)にも居場所がないと泣きだす寸前に「ここに居てもいいよ」と一杯のあたたかいミルクが差しだされたのだ。