土岡俊介 1982年生まれ。 東京工業大学情報理工学院講師。 専門は表現論(代数学)。 (つちおか・しゅんすけ) 結城浩 書籍執筆者。 著書に『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など。 2014年度日本数学会出版賞受賞。 (ゆうき・ひろし)
本記事では、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドの哲学について入門的な説明をする。 ホワイトヘッドは19世紀後半から20世紀前半を生きた英米圏の哲学者である。彼は論理学・数学の研究から出発し、60歳を過ぎてから形而上学の研究に着手した。彼の形而上学期の主著『過程と実在』は、20世紀の哲学書のなかでも屈指の難解テキストである。数々の用語を駆使して、世界全体のあり方を高解像度で描き出そうとするこの書物は、あまりに荘厳すぎる形而上学的体系を提示し、読むものを圧倒する。 本記事では、難解とされるホワイトヘッドの哲学をごくごく簡単に紹介することにしたい。本記事は、拙著『連続と断絶─ホワイトヘッドの哲学』第1章のダイジェスト版となっている。不要なテキスト的証拠や細かい議論などが削ぎ落とされ、最小限の用語と議論だけが残った最短ルートのホワイトヘッド入門となっているはずだ。 ホワイトヘッドの論敵、〈実体の
いじめられっ子漫画家 山田花子の隠蔽された障害 虫塚虫蔵 (追悼号となった『ガロ』1992年8月号) 面識がないのに、過去のどこかで関わった存在。見て見ぬふりして、無理にも顔をそむけたその存在。つまりこの人は、弱者にとって忘れられない存在だ。(文庫版『自殺直前日記 改』西村賢太の帯文より) 1.はじめに 2.山田花子の生涯 2-1.幼少期~小学生時代 2-2.中学入学後~投身自殺 3.隠蔽された障害の正体 4.「表問題児」と「裏問題児」 4-1.差別的感覚と被差別的感覚の同居 4-2.いじめられっ子でいじめっ子 5.本書の問題点 山田花子プロフィール 寄稿/山田花子「自由(ラク)に生きる方法(ヒステリー治療によせて)」 解説/根本敬「マリアの肛門を見た女」 解説/手塚能理子「姿優しく色美しく」 解説/阿部幸弘(精神科医)「ぎゅうぎゅう詰めの空っぽ」 寄稿/蛭子能収「それでは山田花子さん、さ
男性が自分の配偶者の話をするとき、使われることがある「嫁」という言葉。逆に女性が「主人」という言葉を使うシーンも、世代によってはまだあります。「妻・夫」よりも堅苦しく聞こえないからか、フランクな会話で飛び交うことも。 でも、これらは過去に異なる意味で使われた言葉です。知らずに使うことでSNSで炎上した事例や、別の呼び方をする夫婦も。この時代に自分や他人のパートナーをどう呼ぶべきか、考えます。(朝日新聞デジタル機動報道部・朽木誠一郎) 【連載「#令和サバイブ」】この連載は、withnewsとYahoo!ニュースの共同連携企画です。 まず、自分のパートナーを指して言うときの呼び方について振り返ってみます。現時点でもっともフラットとされる表現は「妻・夫」です。 近年、有名俳優や企業の公式SNSアカウントが、女性のパートナーを「嫁」と呼び、炎上する事例が続きました。代表的な批判には「妻を指して嫁と
観測することが実験結果に影響する――。こうした世界観を提示した「量子力学」とはいったい何なのか、その基本的なところだけでも知りたい。 そこで今回は特別企画。分子科学研究所の大森賢治先生に、量子力学の「基本のキ」から、「大森仮説」の内容まで教えていただきます! そもそも、電子は粒子なのか波なのか 電子は非常に軽いけれども、れっきとした質量を持つ、実在する「粒子」ですね。 ところで、粒子と波は、明確に区別される物理的な性質をそれぞれ持っています。粒子は空間のどこかにある、つまり空間的に「局在」していますが、一方、波はそうとは限らない。ずーっと広がっていても構わないわけですね。したがって波は空間的に「非局在」です。 また粒子同士はぶつかると跳ね返りますが、波は跳ね返らず、2つの波が重なり合って強め合ったり、弱め合ったりします。これを干渉といいます。 粒子と波は、この2つの現象によって明確に区別さ
ユヴァル・ノア・ハラリ 単行本 - 人文書 『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ氏、ウクライナ侵攻を受けてガーディアン紙に緊急寄稿。全文公開! ユヴァル・ノア・ハラリ 2022.03.04 著作累計が3,500万部を突破した世界的歴史学者・哲学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は、2022年2月28日付の英国ガーディアン紙に「プーチンは負けた――ウラジーミル・プーチンがすでにこの戦争に敗れた理由(原題:Why Vladimir Putin has already lost this war)」と題した記事を寄稿しました。 当社では、ハラリ氏著作を訳した柴田裕之氏の翻訳による記事全文を、ハラリ氏の了解を得て、緊急特別全文公開いたします。 現代における「知の巨人」が、今世界で最も注目されているプーチンとロシア、そしてウクライナについて何を語るのか、是非ご高読下さい。 2022年2月28日 ガー
ロバート・グラスパーの最新作『Black Radio III』をより深く味わうために、「Jazz The New Chapter」シリーズで知られるジャズ評論家の柳樂光隆が監修した「ロバート・グラスパー相関図」が先ごろ公開。ここでは独自のプレイリストも交えつつ、柳樂にグラスパーの歩みと影響力について解説してもらった。 1. 「ゲームチェンジャー」としてのロバート・グラスパー 21世紀のジャズというより、今日までにおけるライブ・ミュージックの領域において、ロバート・グラスパーが果たした貢献はとてつもなく大きい。 「ジャズとヒップホップ/R&Bを融合した」と評されがちだが、幼少期にゴスペルから出発して、高校〜大学でジャズを学び、同時にヒップホップ/R&Bのセッションにも顔を出してきたグラスパーは、そもそもジャンルが分かれているという意識が極めて希薄だ。さらにグラスパーが特別だったのは、それぞれ
日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2022年1月の特集は「西岡恭蔵」。2021年11月、小学館から書籍『プカプカ 西岡恭蔵伝』という長編伝記が発売された。その著者、ノンフィクション作家・中部博を迎え、今年ソロデビュー50周年を迎える西岡恭蔵の軌跡をたどる。パート2は、西岡恭蔵と細野晴臣との関係性をたどっていく。 田家秀樹:こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人・田家秀樹です。今流れているのは西岡恭蔵さん「サーカスにはピエロが」。1972年7月発売、ソロの1枚目のアルバム『ディランにて』の中に入っておりました。恭蔵さんが生前最も大切にしたという1曲です。 関連記事:岡村靖幸、最新アルバム『操』までを当時のプロモーターとV4代表が語る サーカスにはピエロが / 西岡恭蔵
『タリバン 復権の真実』(KKベストセラーズ)の発売を記念して、著者のイスラーム法学者・中田考氏が、思想家であり武道家でもある内田樹氏と対談を行なった。内田氏の武道場「凱風館」にて開催。そのときの対談を記事化して公開する。「帝国への再編」をキーワードに、いま国際情勢はどうなっているのか? 今後世界の構造はどうなっていくのか? 今回は対談の前編をおくります。 2020年2月29日、カタールのドーハで和平合意に調印した米国のハリルザド・アフガニスタン和平担当特別代表(左)とタリバンのバラーダル師(右) 内田:アフガニスタンのことがよく理解できる、面白くて分かりやすいお話をありがとうございました(【中田考】凱風館講演 前編および後編)。 講演の最後にアフガニスタンと上海協力機構、そしてインドについてお話いただきました(【中田考】凱風館講演 後編を参照)。僕の方からは、この点について少し追加の質問
ナタリー 音楽 特集・インタビュー 【台湾音楽特集】第1回|菅原慎一が台湾音楽の多彩な魅力をKaede(Negicco)にレクチャー Taiwan Beats×音楽ナタリー PR 2021年7月9日 ここ数年、耳の早い音楽ファンの間で台湾のアーティストが人気を集めている。「FUJI ROCK FESTIVAL」にも出演した落日飛車を中心とするインディーロックシーンはもとより、最近ではヒップホップやR&Bシーンも活況を呈し、個性的なアーティストが続々登場しているという。そんな台湾音楽の魅力を伝えるべく、音楽ナタリーは現地のメディアプロジェクト・Taiwan Beats協力のもと3回にわたる特集を展開。第1弾となる今回は、菅原慎一とKaede(Negicco)の対談を掲載する。 シャムキャッツ時代から台湾でたびたびライブを行い、現地のアーティストとも深い親交を持つ菅原。一方のKaedeは、20
音楽・動画制作 | 2020.10.05 Mon 即興と融合。英国・ケニア・ウガンダ8人の伝統と才能が交わるサウンドプロジェクト。ソウルミュージック未聴の領域へ「ESP」 ソウルミュージックの新たな接点を生む「ESP」 英国、ケニア、ウガンダより、全く異なるバックグラウンドを持つアーティストたちがナイロビ(ケニア)に集まり、オープンマインドなアプローチで、さまざまなサウンドやテクニック、伝統を調和させ「ソウルミュージック」を共に創るプロジェクト「Extra Soul Perception(エクストラ・ソウル・パーセプション/以下ESP)」。British Council、Arts Council England、そしてAnalogue Foundationがサポートを行い、参加アーティスト達はオーディオテクニカのプロ用機材を使用して、レコーディングスタジオSupersonic Africa
日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2021年3月の特集は、岡林信康特集。第2週は、URC時代からCBSソニー時代の岡林信康についての話を本人へのインタビューとともにお送りする。 復活の朝 / 岡林信康 田家秀樹(以下、田家)こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人、田家秀樹です。今流れているのは、岡林信康さんの「復活の朝」。2021年3月3日に発売の23年ぶりの新作アルバム『復活の朝』のタイトル曲。今日の前テーマ曲はこの曲です。 関連記事:岡林信康とともに紐解く、コロナ禍で生まれた23年ぶりのアルバム 2021年3月の特集は「岡林信康」。1968年に『山谷ブルース / 友よ』でメジャーデビュー。日本語のフォークとロックのシンボルとして、最初のカリスマ的存在となった方です
カブを収穫した。3月中は寒暖差が激しく身体には堪えたけど、暖かい日が出だしたせいか庭の野菜は一気に大きくなった。4月になってからはなおさらそうだ。カブは花芽も伸び始めているのでヤバい予感がしてきた。パクチーも花が咲き始めてから葉が硬くなり始めたので、このまま行くと固くて食えない… 今年は雪が多かった。ここ2,3年は暖冬だったこともあってか、寒さがより身に染みた。そんな寒さの中でも庭の野菜はスクスク育っている。特にカブと大根、ヤバすぎ。こんなに雪降ってる中でも育つってどうなってんの。生物として強すぎない?カブや大根は寒さに強く、むしろ寒いほうが甘みが増して… おそらくコロナ禍において多くの人がそうだったように自分も植物を育てることで精神的にかなり救われた。 人によっていろいろだろうけど自分は家の前の共同通路の隅に小規模な家庭菜園を作った。大家さんの家族が本格的な畑をやっているのでそういうのに
およそ2年半も続いた 「旅のラジオ」 ですが、 デイリーポータルZ が独立したので、いったん区切りをつけることにしました。 2024年からは、 「超旅ラジオ」 がはじまります。 デイリーポータルZ株式会社の社長となられる林雄司さんと 「ロスト・バゲージ・クラブ」 もはじまります。 私もひさしぶりに、ひとつ 小さな記事 を書きました。 文章を書くことは、難しいけれども、やはり愉しい。 自らの欲する形で、 これからも、何らかを話して、 何らかを書いていこうと思います。 それが許されることの僥倖を忘れないように。 お気に召しますれば、エー、引き続きの、ご愛顧のほどを。 懐の深い向きにおかれては、そうしたご愛顧の「具体化」を。
反ワクチンは非科学か? 先日、ある雑誌のワクチン特集に寄稿したところ、反ワクチンを非科学的なトンデモ主張と同一視したり、大衆迎合のポピュリズムの一種とみなしたりする考えの人びとが「知識人」に案外といて少し驚いた。 もちろん、宗教的あるいは思想信条からワクチンは「ダメ絶対」とか身体に良くないと考える人びとも一部に存在する。 だが、いわゆる「反ワクチン」を主張する大多数の人びとは、100%アンチという意味ではなく、ワクチンの有害作用に対する漠然とした不安ともっと安全なワクチンが開発されるのが好ましいという希望を言っているにすぎない。 より良い医療を求めるニーズそのものはまったく正しいものだ。 さらにいえば、個人の権利の認められている現代社会では、自分の身体のことは他人に指図されずに自分で決めるのが当然、ワクチンを打つかどうかは自己決定権の範囲で、その結果は自己責任というのも理にかなっている。
「ワクチンは怖い」と子供の予防接種をためらう親がいる。小児科専門医として『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』(内外出版社)を書いた森戸やすみ氏と宮原篤氏は、「ワクチンのある感染症のほとんどには治療法がない。接種するリスクより、接種しないリスクのほうが高いことに気づいてほしい」と警鐘を鳴らす――。 「ワクチンは怖い」と話す親たち ――今、予防接種の本を書かれたのは、なぜでしょうか? 【森戸】以前から診察室で「ワクチンは怖いので接種していないのですが……」とか「家族がワクチンの接種に反対しているので中止しようかと……」というような相談を受けていて、危機感を持っていました。どこからそういう情報がくるかというと、不正確な書籍やSNSですね。予防接種に関しての一般書には、医学的に不正確な「反ワクチン本」が多くて、普通の小児科医が正確でわかりやすい本を出したらいいのではないかと思いました。
若林が昨年ロンドンで撮影した、アートとメンタルヘルスにまつわるチャリティ団体「The Perspective Project」のフライヤー。 心の病に苦しむミュージシャンやインフルエンサーが急増するなか、海外では新たな動きが見え始めている。この問題について考えるのは、これからの社会における文化の役割を考えることでもある。世界の最前線に触れてきた編集者、若林恵(黒鳥社)による日本の音楽/エンタメ業界が真っ先に向き合うべき話。 ※本記事は2020年9月25日発売の「Rolling Stone Japan vol.12」の特集「音楽の未来」に掲載されたものです。 メンタルヘルスは「重大な政治課題」 ちょうどつい数日前に、某人気俳優さんが大麻所持で逮捕されたというニュースが報じられまして、海外の事例などを引き合いにしながら、大麻の合法化や、薬物の脱犯罪化といった、大麻をめぐる世界的な「現在地」が語
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