社会学 フランスに持ってこなかったのですが、富永健一先生の近著で『思想としての社会学』という大著があります。内容の詰まった、読み応えのある好著で、第一級の社会学史研究です。本書で取り上げられているのは、福澤諭吉にくわえて欧米の9人の社会学者です。9人とはサン=シモン、オーギュスト=コント、スペンサー、デュルケム、ジンメル、ヴェーバー、パーソンズ、シュッツ、ルーマンです。なぜ福澤が取り上げられているからというと、著者が日本の近代化という視点から西洋社会学を見るためです。 富永先生の考えでは、9人のうち前3者が社会学の始祖であり、19世紀においては彼らが知的交流を持たなかったがために社会学の発展も後に廻されたことになります。そして、社会学の成功を確立したのが著者のいう「第2世代」、つまりデュルケム、ジンメル、ヴェーバーの3者とされています。ルーマンが最後に論じられていますが、これはシュッツの現