しかし日本や支那が完璧な母系制社会であったかというとそうとも言えません。今読んでいるA.M.ナイルの回想録(日本でインド独立闘争を繰り広げていた人)によりますと、インド南端のケララ州は20世紀初頭まで母系制社会でした。そこでは男が作り上げた財産は実の姉妹やその子供(甥・姪)に分配されます。それどころか王位まで子供ではなくて姉妹の子供に継承されるのです。 このように完璧な母系制の社会と比べるとよくわかるように、日本はそこまで母系制の社会ではありません。古代史を財産面から見ると、どうやら日本は社会的地位は父系で継承、財産は母系で継承する傾向があったことがわかります。 まず第一に、日本神話は天皇家の一族が(その当時の)日本中を回ってその土地の有力者の娘をお嫁さんにもらう(実態は入り婿だったのではないかと私は思うのですが)物語だと言えます。 瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)、彦火々出見尊(ひこほほでみの