「カメラが向けられたのは作品ではなく私でした」 こう話すのは、大学院で美術を学ぶ学生です。展示会に来場した男性に作品の説明を終えたあと、写真を撮られました。 展示会場や画廊で、作家にプライベートのことを聞き出したり、しつこくつきまとったり…。 活動にまで影響を及ぼす行為に、各地で対策も始まっています。 (NHKニュース「おはよう日本」で放送しました)
こちらの絵はドガ作『踊りの花形』です。中央にいるのはバレリーナ。舞台の上には顔の見えないおじさんがいます。斬新な構図、見事な光の表現、絶妙なタッチが魅力な絵で、ドガ随一の人気作です。 一体この絵のどこが怖いのでしょうか? バレエというと、裕福な家庭の子供達の稽古事というイメージを持つ人が大半だと思いますが、過去の歴史の中ではそうでもないのです。 劇場、とりわけオペラやバレエを上演するオペラ座は、ドガがこの絵を描いた19世紀当時において社交場という性質が強くありました。 裕福な貴族や紳士たちが定期的に席を予約し、見合いの場や毎シーズンの社交の場として利用されていました。 彼らの利用した桟敷席は飲食自由で、カーテンを閉じればそこで何をしようと構いませんでした。また。これらの高額桟敷席を持つ客は、上映中であっても自由に楽屋や舞台袖に出入りする権利を持っていたのです。 つまり当時のオペラ座は上流階
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