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池田信夫と科学に関するcastleのブックマーク (33)

  • 新しい意思決定理論 : 池田信夫 blog

    2010年11月10日00:15 カテゴリ経済 新しい意思決定理論 「人間は合理的じゃないから経済学は非現実的だ」という類の批判はいやというほど聞かされるが、それに代わる現実的な理論を提示した人はほとんどいない。その数少ない例外がカーネマンのプロスペクト理論だが、書はこうした新しい意思決定理論のユニークな入門書である。数式はほとんどなく、身近な意思決定を題材にした例題がたくさんあって読みやすいが、テーマは著者の研究書と同じく、メカニカルな合理主義に代わる現実的な意思決定理論を構築しようということだ。 その出発点は、プロスペクト理論で実験的にも証明された基準点の概念である。人間は外界の刺激を受けたとき、その絶対値をみて効用を最大化するのではなく、初期値からプラスかマイナスかに反応する。サイモンの限定合理性(bounded rationality)も、正確に訳せば「制約された合理性」であり

    新しい意思決定理論 : 池田信夫 blog
    castle
    castle 2010/11/10
    「人々は不確実性(unknown unknown)よりもリスクを、リスク(known unknown)よりも事実(known known)を求め~人間は、客観的意識的に選択するのではなく、何もないかぎり習慣的に行動し、不利な変化が起きたとき受動的に反応する」
  • 法則科学から臨床科学へ : 池田信夫 blog

    2010年07月27日22:07 カテゴリ科学/文化経済 法則科学から臨床科学へ Mankiw's blogで紹介されたロバート・ソローの議会証言が話題を呼んでいる。内容はそう目新しくもないDSGE批判なのだが、Especially when it comes to matters as important as macroeconomics, a mainstream economist like me insists that every proposition must pass the smell test: does this really make sense? I do not think that the currently popular DSGE models pass the smell test.とDSGEを全面否定するのがちょっと驚きだ。その根拠は「合理的予想」が

    法則科学から臨床科学へ : 池田信夫 blog
    castle
    castle 2010/07/28
    「(DSGEを否定する)根拠は「合理的予想」が現実的かどうかということよりrepresentative agentという最適化理論の道具を実証モデルに使っている点」「原子的個人が棄却されると物理学のような法則科学を構築できない」
  • 合理的個人という物語 - 『人間らしさとはなにか?』

    ★★★★★(評者)池田信夫 人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線 著者:マイケル・S. ガザニガ 販売元:インターシフト 発売日:2010-02 クチコミを見る 著者は脳神経科学の第一人者であり、特に分離脳の研究者として知られる。彼の行なった次の有名な実験は、脳科学の入門書によく出てくる: 分離脳の患者の視野をまん中で仕切って右と左が別々に見えるようにし、右目(左脳)にはニワトリの足先を見せ、左目(右脳)には雪景色を見せた。そのあと患者に見えたものと関係のある絵を選ぶようにいうと、右手(左脳)でニワトリ、左手(右脳)でシャベルを選んだ。そこで患者に「なぜニワトリを見てシャベルを選んだのか?」と質問すると、「ああ単純なことです。ニワトリ小屋を掃除するにはシャベルが必要だから」と答えた。(書p.415) この患者の言語中枢は左脳にあるので、右脳(左目)が雪景色を見たこ

    合理的個人という物語 - 『人間らしさとはなにか?』
    castle
    castle 2010/06/13
    「合理性とは進化から作り出された物語であり、辻褄が合うというだけなら宗教も科学も同じく合理的。近代社会では工学的に応用可能な実証科学の合理性が特権的な地位をもったが脳科学は素朴な合理主義を否定してる」
  • 肉中の哲学 : 池田信夫 blog

    2010年03月12日23:09 カテゴリ科学/文化 肉中の哲学 ジョージ・レイコフというのは日ではほとんど知られていないが、言語学ではチョムスキーと並ぶ教祖的存在である。彼らの「メタファー」の概念は、100年前にマッハが注目した「ゲシュタルト」に近い。『感覚の分析』で「空間形態」と訳されているのが空間ゲシュタルトである。 レイコフ=ジョンソンのメタファーは、メタファーがすべて身体に由来するという疑わしい仮説を除くと、ゲシュタルトやパラダイムといった概念とほとんど同じである。この思想は、マルクスやニーチェとつながっている。 マルクスが「イデオロギー」と呼び、ニーチェが「パースペクティブ」と呼んだ概念がゲシュタルトの元祖だが、彼らが「支配階級の思想」といった利害対立で考えていた概念を、マッハは純然たる認知的な枠組として科学に応用し、これが相対性理論を生んだことは有名だ。 こうした認知論的

    肉中の哲学 : 池田信夫 blog
    castle
    castle 2010/03/13
    「「支配階級の思想」と利害対立で考えていた概念を、マッハは純然たる認知的な枠組として科学に応用」「(枠組が形成され)全体が個物に先立つ」「メタファー=フレームがどうやって成立するのか、はフロンティア」
  • 池田信夫 on Twitter: "ターゲティング政策の失敗が繰り返されるのは、政策の事後評価が行なわれず、関係者が恥を隠すから。教訓を継承するために、記録しておきます。シグマ計画: http://bit.ly/c3Y6rq"

    castle
    castle 2010/03/10
    「(政府によって)ターゲティング政策の失敗が繰り返されるのは、政策の事後評価が行なわれず、関係者が恥を隠すから。教訓を継承するために、記録しておきます。シグマ計画: http://bit.ly/c3Y6rq
  • 自然科学モデルの限界 - 『行動経済学』

    ★★★★☆(評者)池田信夫 行動経済学―感情に揺れる経済心理 (中公新書) 著者:依田 高典 販売元:中央公論新社 発売日:2010-02-25 クチコミを見る このごろ行動経済学についてのがたくさん出るようになったが、ほとんどはカーネマン=トベルスキーなどの実験を日常生活に応用してアノマリー(特異性)の実例をあげるもので、いささか傷だ。書はこうしたおもしろとは違って、大学の講義録をもとにして行動経済学歴史を振り返り、理論的にまとめた入門書である。 意思決定理論の歴史は古く、パスカルやベルヌイにさかのぼる。こうした理論において最大の問題は、不確実な未来のもとでどう決断するかということだったが、フォン=ノイマン以降の期待効用理論は、これを数学的に操作可能な公理系に単純化してしまった。それによってゲーム理論などの体系的な理論ができたが、エルズバーグのパラドックスやアレのパラドックスな

    自然科学モデルの限界 - 『行動経済学』
    castle
    castle 2010/02/28
    「人間の意思決定が価値関数のような数値として表現される発想が、人間を快楽を最大化するロボットと考える功利主義の変種。人間を本質的に理解するには認識論レベルから見直す「パラダイム転換」が必要なのでは」
  • 存在論的ブラック・スワン : 池田信夫 blog

    2010年01月26日23:56 カテゴリ経済 存在論的ブラック・スワン タレブが"Black Swan"の第2版で追加した部分をツイッターで紹介している。あれを読んだとき誰もが感じる疑問は、彼はフランク・ナイトを読んだことがないのかということだが、これに反論してタレブは、ナイトのリスクと不確実性の区別は質的ではないという。 たとえば世界貿易センタービルで働いていた人にとって9・11は確率ゼロのブラック・スワンだったが、そこに突っ込む飛行機に乗っていたテロリストにとっては確率1に近い出来事だった。両者を知っている神がいれば「存在論的リスク」は計算可能かも知れないが、神はいないので、すべての社会現象はナイトの意味で不確実なのだ。それが機械的なリスクに見えるのは、特定の座標軸を固定した場合の錯覚にすぎない。 Black-Scholes公式に代表される経済学の理論は、社会の質的な複雑性を捨象

    存在論的ブラック・スワン : 池田信夫 blog
    castle
    castle 2010/01/27
    「全てのリスクは主観的」「(特定の理論を固定しそれに合わない現象を捨象する)パラダイム自閉症は学問が職業として成り立つ上で避けられないバイアスであり、重要なのは、それを使う側がバイアスを弁えて使う事」
  • イノベーションは「いじくり回し」である : 池田信夫 blog

    2010年01月11日00:43 カテゴリ経済 イノベーションは「いじくり回し」である 日でも大ベストセラーになった『ブラック・スワン』に続いて、今年中に出るといわれるタレブの新著、"Tinkering"の草稿の一部が、彼のツイッターで公開された。ランダムなメモなので非常に読みにくいが、私が解読した範囲で簡単に紹介しておこう(日を追って逆順に書かれているので、最後から読んだほうがわかりやすい)。 書のテーマはイノベーションで、タレブはそれをtinkering(いじくり回し)と呼ぶ。イノベーションは、科学的発見に似ている(これは当ブログでも論じた)。それは論理実証主義の考えるような「帰納→理論→演繹」といった機械的な手続きで行なわれるのではなく、科学者の発見した仮説を検証(反証)するものだ。では、その仮説はどうやって発見されるのか。そこには論理はないのか――これは分析哲学の最大の難問であ

    イノベーションは「いじくり回し」である : 池田信夫 blog
    castle
    castle 2010/01/11
    「(科学者がどうやって仮説を発見してるか)事実を色々な角度からいじくり回す試行錯誤によって解く方法論」「タレブも無秩序や不均衡を既存の理論で「プラトン化」しないで、ありのままにいじくり回せと助言する」
  • 行動経済学 : 池田信夫 blog

    2006年05月25日01:16 カテゴリ 行動経済学 行動経済学 経済は「感情」で動いている 光文社 このアイテムの詳細を見る きのうの記事でも少し言及した「行動経済学」の入門書。中心はKahneman-Tverskyのプロスペクト理論やフレーミング理論だが、多くの実例でわかりやすく解説されている。この種の理論は、経済学者はバカにしていた(2人とも心理学者)が、2002年にKahnemanがスウェーデン銀行賞を受賞して、にわかに注目されるようになった。 経済学、とくに消費者行動の理論は、来は心理学の領域である。「限界効用が逓減する」などという事実は実証されてもいないし、そもそも一意的な「効用関数」が存在するかどうかも疑問だ。Kahneman-Tverskyは実証データによって効用理論を否定し、「感情」によって消費者行動が決まる「価値関数」を導いた。ゲーム理論を使った「実験経済学」でも

    行動経済学 : 池田信夫 blog
    castle
    castle 2009/12/16
    「経済学、とくに消費者行動の理論は、本来は心理学の領域である。「限界効用が逓減する」などという事実は実証されてもいない」「理論が現実にあわないときは、理論を現実にあわせるべきであって、その逆ではない」
  • 日本語に主語はいらない : 池田信夫 blog

    2009年07月29日22:10 カテゴリBooks 日語に主語はいらない 学校文法では、「文は主語と述語によって成り立つ」と教わる・・・という文には主語がない。こういう場合、学校では「生徒は」という主語が「省略されている」と教わるが、この基準で日語の日常会話を分析すると、90%以上の文で主語は「省略」されている。世界の他の言語をみても同じで、主語が不可欠なのはインド=ヨーロッパ語族の一部に限られる。主語・述語モデルにもとづく生成文法も、「普遍文法」どころか「ヨーロッパ語文法」でしかない。 このように英語をモデルとして「日語は主語がないので論理的ではない」という学校文法に対する批判も古くからあり、時枝文法や三上章など、「日語の論理は英語とは違う」とする議論も多い。書は、学校文法や生成文法を否定する点ではこうした理論と同じだが、「日語特殊論」も批判し、日語と英語は同じ論理の変種

    日本語に主語はいらない : 池田信夫 blog
    castle
    castle 2009/11/09
    「認知言語学では、統語論を否定し、文をメタファーの関係としてとらえる~外的な世界を概念化する過程であり、文法はその概念=メタファーの関係をあらわす形式」「論理的関係は集合の包含関係に置き換えられる」
  • 池田信夫 blog:ウィトゲンシュタインとラムゼー*

    ウィトゲンシュタインとラムゼー* テクニカルな話には*をつけることにしたので、経済学や哲学に興味のない読者は無視してください(BLOGOSにも転載しなくて結構です)。 今月の日経済学会の招待講演で、神取道宏氏が今後の経済学の方向として行動経済学をあげていた。ただしその現状は、物理学でいえば落ち葉の運動がニュートンの運動方程式(新古典派理論)では記述できないと指摘するにとどまっており、そのゆらぎにいろいろなパラメータを当てはめてアドホックな仮説を立てている段階だ。神取氏は、ここから進んで空気抵抗の理論のようなものを見つけないと行動経済学は行き詰まるといい、空気抵抗に相当するのは人間の認知構造だと結論した。 神取氏から認知構造という言葉が出てきたのは意外だったが、これを空気抵抗のような例外と考えている限り、行き詰まると思う。天動説に惑星の運動のような例外を際限なく付け加えれば、天体の運動

    castle
    castle 2009/10/26
    「認知構造を例外と考えている限り、行き詰まる。天動説に惑星の運動のような例外を際限なく付け加えれば、天体の運動は「説明」できるが、それは理論とはいいがたい」「確実性の問題(ヴィトゲンシュタイン)」
  • 共産主義の興亡 - 池田信夫 blog

    社会主義は1990年代に崩壊したと思っている人が多いようだが、書も指摘するように、スターリンの死んだ1953年から崩壊は始まっていた。1960年代後半の新左翼は社会主義国を「スターリン主義」と呼んで敵視しており、1980年代に崩壊したときは、とっくに知的権威を失っていた。むしろ問題は著者もいうように、あんな非効率な国家がなぜ70年以上ももったのかということだ。 共産主義はユートピア思想としては古くからあったが、マルクスの思想は圧倒的に完成度が高く、多くのインテリを魅了した。しかし当の労働者には彼の思想は理解できず、西欧では共産主義運動は失敗した。ロシア革命は、第一次大戦のドサクサにまぎれたクーデタで、レーニンとトロツキーの革命政府は少数派による軍事政権だった。共産主義が貧しい民衆の支持を得たのは、党にすがれば今よりいい生活ができるという救済の約束だった。 この点では、社会主義は「科学

    castle
    castle 2009/10/06
    「(レーニンとトロツキーの革命政府は少数派)内戦でボルシェヴィキが貧しい民衆の支持を得たのは、党にすがれば今よりいい生活ができるという救済の約束だった。この点では、共産主義は科学よりキリスト教に近い」
  • 技術への問い - 池田信夫 blog

    書は、ハイデガー晩年のもっとも重要な論文「技術への問い」を中心にして5の論文を集めたものである(復刊)。最初に断っておかなければならないのは、訳があまりにもひどく、とても通読できないということだ。たとえば有名な、技術をGe-stellという奇妙な言葉で表現する部分は、書ではこう訳されている:われわれはいま、それ自体を開蔵するものを用象として用立てるように人間を収拾するあの挑発しつつ呼びかけ、要求するものをこう名づける――集‐立(Ge-stell)と。この文を理解できる人は、まずいないだろう(訳者が理解しているかどうかも疑問だ)。私は原文を読んではいないが、英訳のほうがはるかにわかりやすい。英訳ではGe-stellはenframingと訳されており、自然を一定の枠組の中で理解し、利用することだ。 この論文が重要なのは、若きハイデガーが『存在と時間』で提起した形而上学批判という問題に、

    castle
    castle 2009/09/24
    「技術が対立するのは科学ではなく、自然がおのずから立ち現れてくるポイエーシス(生成」「近代科学の方法論は自然を受動的に見るのではなく、実験や工学的応用によって自然を「挑発」して真理を開示するテクネー」
  • つきはぎだらけの脳と心 - 池田信夫 blog

    脳が驚異的に複雑で巧妙にできていることは誰でも知っているが、それは脳の性能が高いことを必ずしも意味しない。むしろ脳は進化の過程で行き当たりばったりに複雑化し、古い脳の上に新しい脳がつぎ足されているため、機能が重複して効率が悪いというのが書のテーマだ。進化の初期の段階でつくられたまま、ほとんど使われていない古い機能も常に「オン」になっているので、わずか1.3kgの器官を維持するために人間の摂取するエネルギーの2割が使われている。素子(ニューロン)の性能は半導体の数万分の一以下しかなく、処理速度も正確さもはるかに劣る。 その代わり脳は、100億のニューロンと500兆のシナプスからなる恐るべき超並列コンピュータで、この並列処理によって素子の低性能を補っている。たとえば眼球の機能は不完全なので、情報の入力は不安定だ。次の図はサッカード(視点運動)とよばれる現象の実験で、左側の写真を4分間見ると

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    castle 2009/09/22
    「(脳が複雑で巧妙にできていることは)脳の性能が高いことを必ずしも意味しない。むしろ脳は進化の過程で行き当たりばったりに複雑化し、古い脳の上に新しい脳がつぎ足されているため、機能が重複して効率が悪い」
  • 心をつくる - 池田信夫 blog

    経済学の依拠している功利主義は、独立した<私>がある財から得る<効用>を最大化すると想定しているが、このような素朴唯物論は心理学でも脳科学でも否定されている。書もいうように、そもそも私という存在が無数のニューロンの刺激を合成した錯覚であり、それが外部の物体を直接に知覚することもありえない。脳はまず外界のモデルをつくり、その予測を経験によって修正しながら知覚するのだ。 こうした知覚が意味として成立するには、他人との相互作用によってモデルを共有する必要があり、認識は源的に相互主観的だ――こうした認識論は100年前にフッサールが内省によって導いたものだが、最近の脳科学はそれを裏づけている。フッサールが地平と呼んだものが、脳内のモデルに対応している。こうした相互主観的な認識の成立する過程では、他人の気持ちを感じるミラーニューロンが重要な役割を果たす。 もう一つ重要な発見は、こうした知覚が身

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    castle 2009/08/17
    「意味が形成される過程も、コミュニケーションの中で個人のモデルの類似点や相違点を見つけながら、再帰的にモデルを修正する言語ゲームによって行なわれる」「米欄:脳は主ではなく、皮膚感覚等に引きづられた従」
  • マクロ経済学の「暗黒卿」、反論する - 池田信夫 blog

    Economist誌に「マクロ経済学の暗黒時代」を作り出した元凶と名指しされたロバート・ルーカスが、これに反論しているが、今ひとつ切れがよくない。効率的市場仮説については、こう弁護する:Over the years exceptions [of the EMH] and “anomalies” have been discovered (even tiny departures are interesting if you are managing enough money) but for the purposes of macroeconomic analysis and forecasting these departures are too small to matter. The main lesson we should take away from the EMH for p

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    castle 2009/08/07
    「危機が起こらないという前提でシミュレーションをやったら、起こらないという結論が出るのは当たり前」「危機のとき役に立たない理論というのは無価値」「重要なのは経済学界を維持する力でなく事実を説明する力」
  • 日本語は論理的である - 池田信夫 blog

    学校文法では、「文は主語と述語によって成り立つ」と教わる・・・という文には主語がない。こういう場合、学校では「生徒は」という主語が「省略されている」と教わるが、この基準で日語の日常会話を分析すると、90%以上の文で主語は「省略」されている。世界の他の言語をみても同じで、主語が不可欠なのはインド=ヨーロッパ語族の一部に限られる。主語・述語モデルにもとづく生成文法も、「普遍文法」どころか「ヨーロッパ語文法」でしかない。 こうした英語をモデルとする文法に対する批判も古くからあり、時枝文法や三上章など、「日語の論理は英語とは違う」とする議論も多い。書は、学校文法や生成文法を否定する点ではこうした理論と同じだが、「日語特殊論」も批判し、日語も英語も基的には同じ論理の変種だと論じる。著者の理論的根拠とする認知言語学は第2章に要約されているが、くわしいことは著者の前著を読んだほうがいいだろ

    castle
    castle 2009/08/04
    「認知言語学では、統語論を否定し、文をメタファーの関係としてとらえる~外的な世界を概念化する過程であり、文法はその概念=メタファーの関係をあらわす形式」「論理的関係は集合の包含関係に置き換えられる」
  • Moral Sentiments And Material Interests - 池田信夫 blog

    エゴイズムを正面きって肯定し、個々人が欲望を最大化する結果が「見えざる手」によって最適の結果をもたらす、というのがアダム・スミス以来の経済学のセントラル・ドグマだ。しかしスミスには、もう一つの(ほとんど読まれない)『道徳感情論』というがある。ここで彼は、他者への「共感」がなければ社会秩序は維持できないとした。 経済学は後者の議論を無視し、利己的な動機だけで秩序(均衡)が成立することを数学的に証明しようとしたが、一般均衡理論はかえって現実的な条件では均衡は存在しえないことを証明してしまった。超合理的な「代表的個人」を想定する合理的期待仮説も、実証的に棄却される。経済学者の多くも、合理主義的な経済学に未来はないと思いながらも、学生にはそれを教えている。系統的な理論は今のところそれしかない、というのが彼らの言い訳だ。 しかし最近では、行動経済学や実験経済学の結果を理論的に説明しようという試

    castle
    castle 2009/07/20
    「個々人が欲望を最大化する結果が「見えざる手」によって最適の結果をもたらす、が経済学のセントラル・ドグマ。~しかし、(スミスは『道徳感情論』で)他者への「共感」がなければ社会秩序は維持できないとした」
  • 経済学の事故調査委員会 - 池田信夫 blog

    今週のEconomist誌の特集は、経済学(および経済学者)の批判だ。マクロ経済学のパートと金融理論のパートがあるが、前者、特にルーカス以降の「数学的な飾りばかりで中身のない」動学マクロ理論についての評価は非常にきびしく、各国の中央銀行がこんな「別世界の哲学」を政策の基準にしたことが今回の悲劇の一因だと断罪している。 金融理論については、効率的市場仮説(EMH)や金融工学を批判しているのは当然だが、今回の失敗は金融工学の欠陥といった高級な問題を持ち出さなくても説明できる。Black-Scholes以来の金融工学は、すべての資産価格が独立に動く(相関がゼロ)と仮定しているので、今回のようにすべてのバブルが一挙に崩壊するといった強い相関がある場合には、そもそも金融工学を使うのが間違っていたのだ。 だから真の問題は、マクロ理論や金融工学が役に立たないということではなく、それより役に立つ理論が

    castle
    castle 2009/07/17
    「問題は、DSGEや金融工学が役に立たないことではなく、それより役に立つ理論があるかどうか」「経済危機を航空機事故のような複合的事故と考え、心理学や政治学等から検証する事故調査委員会を作ってはどうかと」
  • 第5世代コンピュータ - 池田信夫 blog

    渕一博氏が死去した。彼は、1980年代の国策プロジェクト「第5世代コンピュータ」を進める新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT)の研究所長だった。私もICOTは何回か取材したが、発足(1982)のころは全世界の注目を浴び、始まる前から日米でが出て、欧米でも似たような人工知能(AI)を開発する国策プロジェクトが発足した。ところが、中間発表(1984)のころは「期待はずれ」という印象が強く、最終発表(1992)のころはニュースにもならなかった。 1970年代に、通産省(当時)主導で行われた「超LSI技術研究組合」が成功を収め、日の半導体産業は世界のトップに躍り出た。その次のテーマになったのが、コンピュータだった。当時はIBMのメインフレームの全盛期で、その次世代のコンピュータは、AIやスーパーコンピュータだと考えられていた。通産省の委員会では、国産のAI開発をめざす方針が決まり、第5世

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    castle 2009/07/06
    「日本語で命じると動くコンピュータを目的にし、推論エンジンと知識ベースの構築が行われた」「例外処理が膨大になり、行き詰まった」「自然言語の本質はプログラミング言語のような演繹的な情報処理ではなく」