3.キルクーク (3)トルコ、影のプレーヤー(前回 のつづき) トルコがイラク北部のクルディスターン地域政府の存在を将来的にどう判断するだろうか。クルド国内のクルド人の分離主義を煽るとして、結局は地域政府を潰しにかかるのだろうか。イラクの混乱に乗じてキルクークの油田地帯までをも視野に入れた軍事作戦というシナリオも、既に紹介した。また、そうまでしなくともトルコは、イラクとの国境を封鎖してクルディスターン自治政府を経済的に窒息させることもできる。トルコが送電を停止すれば、イラク北部の繁栄は、たちまちにして輝きを失うだろう。 だが、そうした政策のコストも安くない。イラクとの貿易で潤う建設業やトルコ東南部の人々への打撃は大きい。アメリカにとっても、イラク北部の安定と繁栄は重要である。イラクで一番安定している地域をトルコが混乱させれば、トルコ・アメリカ関係は難しくなろう。 >>次回 につづく