ホームズと犯人と近代社会 この前の「西尾維新と、日本の幸福な密室」というエントリで、僕が「シャーロックホームズの時代から、ミステリを育てた2大要素とは「病的で閉鎖的な論理パズルの快楽」と、「ムラ社会の風習を暴くスキャンダルの快楽」だった。」と書いた。 そしたら、はてなブックマークの方でFTTH氏から「その要素を引くならホームズはダウトだろ。」という反論があった※1。 鋭いご指摘で、僕の側の説明不足を感じたので追加の蛇足。 二部構成の長編ホームズ ミステリ好きならご存知のとおり、シャーロックホームズの物語は、長編4本と短編群で出来ている。初めの2作の長編、「緋色の研究」と「四人の署名」はぜんぜん売れなかった。爆発的な人気を博したのは、短編の連載が始まってからだ。 で、ホームズの長編小説というのは、おおまかに二部構成で出来ている。 PartAは、変人ホームズが近代理性の名の下に、犯人を明