明け方夢のなかで鶴見俊輔のような老人と長々戦後民主主義についての対話をしていた。対談者は三人いてもう一人は私より十歳くらい若い気鋭っぽい学者さんで、私の話に関心をもったり皮肉ったり、それでいて鶴見をあの時代のインフォーマントとして分析しているようなツッコミも入れていた。「結局、吉本さんってどうなんでしょうね」みたいな話に流れ込んで三人は沈黙した。私が言いたかったのは、吉本隆明の真価は、鶴見がある程度念頭においている吉本のイメージとしての戦後から六十年代、そして七十年代に至る新左翼的な言論人よりも、七十年代の大衆的な資本主義論から超資本主義論、そしてセプテンバー・イレヴンまでの時事的な考察に現代的な意味があるのではないかという点だった。若い学者さんもそのスパンでの後期の吉本思想を半分せせら笑うようでいながら、多少は考え込んでいるみたいだった。 と以上は夢で、おそらくもうしばらくすると夢の感触