ステージ上で速く複雑なピッキングでギターを弾きまくり、ときに叫びにも近い感情的な歌を聴かせるギタリスト/ヴォーカリストと、壇上から降りたあと、注意深く耳を傾けないと聞きとれないほどの小さな声で話す富樫ユイとの間には、とても不思議なギャップがある。 2021年に結成されたdowntは、富樫と河合崇晶(ベース)、Tener Ken Robert(ドラムス)とのトリオで、富樫のソングライティングを中心に、作品をつくることに重きを置いて、東京で活動している。これまでにミニ・アルバム『downt』(2021年)、EP「SAKANA e.p.」(2022年)、シングル「III」を発表し、日本のインディ・ロックの紹介にも力を入れているUKの〈ドッグ・ナイツ・プロダクションズ〉からコンピレーション・アルバム『Anthology』(2022年)がリリースされたこともある。2022年にはFUJI ROCK F
ブラックホールの先には何があるのか? “ブラックホール先輩”ことジェフ・ミルズに聞いてみた2024.04.26 18:005,928 Jun Fukunaga ブラックホールを突き抜けた先には何があるのか? その可能性を追求した舞台芸術作品が2024年4月1日に東京ZEROTOKYOにて行なわれたライブ・オーディオビジュアル作品『THE TRIP -Enter The Black Hole-』です。 この作品の総指揮を執ったのは、テクノ界のパイオニアとして知られる世界的アーティスト・DJのジェフ・ミルズさん。ジェフさんは、今回、日本で最も革新的なビジュアル・チームと評されるCOSMIC LABと共同制作でブラックホールをテーマにした本公演を実施しました。 Video: CosmicLab / YouTube今回がワールドプレミアとなる同公演では、総合演出、脚本、音楽をジェフさん自身が担当し
昨年行なわれたサマーソニック'08ではメイン・ステージの大トリをつとめ、現在進行形の極めて刺激的なビートにて、モンスター・バンドたる健在ぶりをアピールしたプロディジー。“レイヴ”という言葉の本質を知るに欠かせない問題作、実に5年ぶりとなるニュー・アルバム『インヴェイダーズ・マスト・ダイ』が、2月18日に日本先行でリリース!(アルバムからの1stシングル「オーメン」も同日発売) デイヴ・グロール(フー・ファイターズ)、ジェームス・ラッシェント(ダズ・イット・オフェンド・ユー・ヤー?)といった豪華ゲストも参加し、これまで以上の攻撃的なスタンスが際立つ『インヴェイダーズ・マスト・ダイ』。メンバーのリアム・ハウレット&キース・フリントのインタビューが到着! リアム・ハウレット(以下、リアム) 「11年ぶりというと、俺たちがその間離ればなれでいて、また一緒になったように聞こえるけど、バンドは一度も解
「実はこれについては今まで、どんなインタビューでも話していません」と、リナ・サワヤマさんは言った。その声は落ち着いていた。 サワヤマさんは私と目を合わせたままで、2枚目のアルバム「Hold the Girl」に着想を与えた痛みを話そうとした。このアルバムを制作する前、彼女はセックスと恋愛のセラピーを受けたという。
ブラーのメンバー:左からアレックス・ジェームス、グレアム・コクソン、デイヴ・ロウントゥリー、デーモン・アルバーン(Photo by REUBEN BASTIENNE-LEWIS) UKの伝説的バンド、ブラー(blur)が2015年以来となるアルバム制作のために再集結。バンドのリズムセクションを担当する2人のメンバーは、自分たちでも驚くほど楽しめているようだ。今夏のサマーソニックでヘッドライナーを務める彼らの最新インタビュー。 昨年の今頃はブラーのメンバー4人の誰一人として、自分たちが近い将来に再び集結してアルバムを作るなどとは、夢にも思っていなかった。やがて彼らのもとに、2023年の夏にウェンブリー・スタジアムでコンサートをしないかという話が舞い込んできた。「断る理由がないだろう」と、ドラマーのデイヴ・ロウントゥリー(59歳)は言う。「英国を代表する最高の会場だ。90年代後半の絶頂期にあっ
幻の名盤解放同盟に入るような曲を集めたのが「UFOと恋人」でした ──メジャーデビュー35周年おめでとうございます! まずは先日横浜と川崎で開催された「UFOと恋人」30周年再現ライブの感想から(参照:筋肉少女帯が「UFOと恋人」をライブで再現、疲れ知らずでライブをする方法に気付く)。これも35周年企画の一環ということですが、いかがでしたか? 内田雄一郎(B) レコーディングしてる頃のことをいろいろ思い出しましたね。当時、木目のきれいなベースを買いまして。これにお経を書いたら耳なし芳一ベースができるなと思って写経の本を片手に筆ペンでベースにお経をずっと書いていたんですけど、途中で気持ち悪いなと思ってやめました(笑)。完成していたら新崎人生(全身に写経を施したプロレスラー)より早かったかもしれない。 ──大槻さんはライブ後に「オレ今日一度もライブ中に座らなかった! なるほど重要なのはセトリと
名前は? どんぐりず。森(写真左)、チョモ(写真右)。 肩書は? ミュージシャン。 出身は? 群馬県桐生市。 これまでに観た最高のライブは? チョモ:有名な動画だと思うんですけど、ユセフ・デイズというドラマーと、ピノ・パラディーノの息子でロッコ・パラディーノというベーシスト、アルファ・ミストというキーボーディスト、マンスール・ブラウンというギタリストの4人でやっているセッション“Love Is The Message(Live @ Abbey Road)”です。あの曲自体が好きで、何度も観ていますね。全パートのミュージシャンを知っているし、特にユセフ・デイズとアルファ・ミストが好きなんですけど、ジャムをよくやる人たちが、その延長線上で曲をやっていて、ジャズの即興性がしっかり感じられるんです。俺自身がギターを弾くので、マンスール・ブラウンの弾きこみ方の凄さも分かるので。 森:めっちゃ最近なん
聴くことの意味を考えると、耳が受動的な器官であるということを押さえた上で、本でも、映画でも、言えることなんだけど……、新しい体験をしたり、新しい風景を見たり、新しい考えに触れたりするのって、好きじゃない、人間って。自分じゃない誰かの考えとか、体験とか、感覚とかを疑似体験するために本を読んだり、映画を見たりする。それと似た様なことなのかな……、もしかしたら同じと言ってもいいのかも。 ただやっぱり器官として、感覚器としてやはり視覚で認識できるようなものとは違うから、共有しているものは多いんだけど、実は音楽でしか与えられない感情とか、風景の感覚とか、時間の感覚とか、というのもあるんだと思う。それは映像とか、言葉に置き換えることができなくて、なかなか難しいんだけど、音楽でしか得られないものは確実にある。僕の経験から言うと、例えば、中学2年生の時にドビュッシーと出会って、ハマっちゃった。ドビュッシー
メガデスのデイヴ・ムステイン、1992年ロンドンにて(Photo by Martyn Goodacre/Getty Images) メガデス(Megadeth)の6年ぶり来日公演が、2月24日に東京・豊洲PIT(追加公演)、2月27日に東京・日本武道館、2月28日に大阪・グランキューブ大阪で開催される。昨年には最新アルバム『ザ・シック、ザ・ダイイング…アンド・ザ・デッド!』をリリース。好調が続くフロントマンのデイヴ・ムステインが、メガデスの最高傑作と称される1992年の4thアルバム『破滅へのカウントダウン』を振り返った。 メガデスをメインストリームへと一気に押し上げた1992年のアルバム『破滅へのカウントダウン』(原題:Countdown to Extinction)制作時を振り返るとき、デイヴ・ムステインは当時のクリアな精神状態に感謝していると言う。長年アルコールとドラッグを乱用したの
「やっぱりリバティーンズは来なかった」。今年8月に開催された『SUMMER SONIC 2022』の約1週間前にThe Libertinesの出演キャンセルが決定した。チケットを購入していた多くのファンが、落胆すると同時に妙に納得してしまったのではないだろうか。 なぜならドラッグとアルコールによる問題やトラブルの数々を起こしてきたThe Libertinesは、「来日するのはほぼ不可能」というのが定説とされてきたからである。それだけに、今回の件では、「ようやく4人揃ったリバティーンズが日本で見れると思ったのに」というショックと「やっぱりね」というあきらめが入り乱れるような、多くのファンをモヤモヤさせる結果となった。 そして現時点で、The Libertines本人たちがこの結果をどうとらえているのかという本音は、いまだメディアではあまり取り上げられていない。そこで今回、The Libert
シェイムやゴート・ガール、HMLTD、それらに続くブラック・ミディ、ブラック・カントリー・ニューロード、振り返ってみるとサウス・ロンドンのインディ・シーンはライヴ・バンドのシーンだったように思える。そのなかにあってソーリーは少し異彩を放っていた。このノース・ロンドン出身のバンドはシーンのなかで一目置かれ中心的な役割を果たしながらもそれと同時にベッドルームのSSWの側面も持ち合わせていた。ギターとヴォーカルを担当するアーシャ・ローレンス、ルイス・オブライエン、ふたりのソングライターの創作のルーツは SoundCloud にあってそこからソーリーははじまったのだ。 2020年にリリースされ高い評価を得た前作『925』に続きリリースされた 2nd アルバム『Anywhere But Here』はポーティスヘッドのエイドリアン・アトリーをプロデューサーに迎え、ブリストルのアリ・チャントのスタジオで
アーティストというのは、ほかの職業と違って階層や階級のアップダウンが激しい職業だ、ということを話した。なぜなら、ある現場では主賓のように扱われるけれど、別の現場ではただの使用人みたいに扱われるときもあるから。 2010年代以降に台頭してきた、俗に言われる新世代ジャズにおいて、特にドラマーの活躍がクローズ・アップされることが多いのだが、そうしたなかでも生演奏とプログラミングやサンプラーを駆使・融合したドラマー兼ビートメイカーの存在は、ジャズ界のみならず多方面から注目を集めている。アメリカにおいてはクリス・デイヴ、カリーム・リギンス、ネイト・スミスあたりが代表的なところで、彼らよりひとまわり下の世代(1983年生まれ)にあたるマカヤ・マクレイヴンも近年の注目株だ。 両親ともにミュージシャンという家庭でパリに生まれ、3歳のときにアメリカのマサチューセッツ州に移住し、音楽をはじめたマカヤ・マクレイ
インタヴューの全編はこちらから→https://nme-jp.com/feature/119640/ 気候の非常事態が猛スピードで迫りくる中、私たちのリーダーは頭から砂の中(または化石燃料のあらゆる賄賂が存在するところ)に隠れているが、マシュー・ベラミーはロサンゼルスという破滅的状況の最前線、カオスの瀬戸際そのものという適切な場所に身を置き、焦げついた社会の灰を身をもって味わっていた。 2番目の子ラヴェラの誕生に立ち会うまでの道すがら州兵隊のトラックの横を通り過ぎたり、ブラック・ライヴズ・マターの抗議デモがロサンゼルスの街を大勢で練り歩く様子を病院の窓から眺めていたりした彼が「この子は一体どんな世界に生まれようとしているんだろう」と考えていたのは確かである。しかし、ミューズが『シミュレーション・セオリー』ツアー(サイボーグに扮したダンサーの大群の空中浮遊や、マーフという名の空気で膨らむ巨大
「俺たちが成功するとは誰も思っていなかったと思う」と、スキッド・ロウのフロントマンだったセバスチャン・バックは言う。 1989年の夏、ボン・ジョヴィはアルバム『ニュージャージー』のツアーに、地元の友人たちを前座として招いた。それがニュージャージー州トムズ・リバー出身のハードロック・バンド、スキッド・ロウだった。 同年、彼らはデビューアルバム『スキッド・ロウ』を発表。「アイ・リメンバー・ユー」や「エイティーン・アンド・ライフ」といったドラマチックなバラード曲が、無名の前座バンドにプラチナを5枚もたらした。 そしてこの秋、同作の30周年を祝うツアーが2つ実施される。一つは現在のスキッド・ロウによるツアー。不動のメンバーであるデイヴ・スネイク・セイボ、レイチェル・ボラン、スコッティ・ヒルが自分たちの作った楽曲を演奏する。もう一つは、8月29日から始まる元メンバーらによるツアーで、ここではスキッド
日本のカルチャーを賞賛するときの言葉に「世界基準」とか「世界が認めた」という言い方がある。島国である日本らしい物言いだと思う。しかし、実際のところ、その「世界」というのはどこにあるのか? ラウドミュージックの分野で、「世界」というものを現場の肌感覚として誰よりも知っているバンドがCrossfaithだ。 大阪のハードコアシーンで育ち、今年で結成10周年を迎えた彼ら。メタルコア以降のバンドサウンドにエレクトロを取り込み、さらに様々な要素を吸収して音楽性の幅を広げてきた。2012年発売のミニアルバム『ZION EP』からは海外ツアーも本格化。アメリカの『Warped Tour』、イギリスの『Reading & Leeds Festival』を筆頭に、ヨーロッパ、オーストラリアなど各地のフェスやライブハウスに出演してきた。 ニューシングル『FREEDOM』の表題曲“Freedom”は、親交の深い
大ヒットしたデビュー作『Kid Krow』から2年、待望の2ndアルバム『Superache』をリリースしたコナン・グレイ。日本人の母親を持ち、7月15日(金)に日本初ショーケース・ライブの開催も決定。米ローリングストーン誌によるインタビューで、ポップスターの素顔に迫る。 【画像を見る】コナン・グレイ撮り下ろし写真 悲惨だった幼少期 コナン・グレイによると、彼は常に物事を側から眺めているようなタイプだったという。周囲の人間に起きた出来事を実体験のように捉える彼は、自分のことを「傍観者」と表現する。「いつも人間観察をしてるんだ」。ロサンゼルスのEagle Rockエリアにあるお気に入りのカフェで低温抽出のコーヒー(ミルクも砂糖もなし)をすすりながら、彼は肩をすくめてそう話す。「僕はただ、誰かの日常を観察するのが好きなんだと思う」 現在23歳の彼が、自分を「傍観者」と表現することはやや不可解に
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