新型コロナウイルス感染症が流行して以降、「東京から人々の大脱出が始まった」と言われた。 インターネットを介したリモートワークが普及し、どこでも仕事ができるなら、子供にいい環境や人間らしい暮らしを求めて「地方」へ移住する人が増えた、とされたのだ。東京はあまりに人が多すぎてウイルスが蔓延(まんえん)し、「こんなところに住んでいられないと考える人が増えたのも原因」とする論評もあった。確かに一定数、そうした人々はいたはずだ。しかし、本当に大脱出と言えるような状態なのか。 データを見ると、むしろ逆になっている。地方から東京への人口集中は、ウイルスが広まった昨年もなお進行し、今年になってからも止まっていない。もちろん、増加幅は小さくなっており、人口流出の多い月もあった。異変が起きているのは間違いない。これからどうなるかの見通しも不透明だ。しかし、少なくともこれまでのところ、東京への人口集中は続いている