ロシアのウクライナ侵攻により、突如として私たちの目の前にリアルな姿で立ち現れてきた「戦争」。しかし、その哲学的な定義や、人類史における意味が深く考察される機会は少ない。そして、「なぜ人間は戦争をするのか」という根本的な問いも──。 21世紀のいま、それを改めて考える哲学者、フレデリック・グロに、仏「ル・ポワン」誌がインタビューした。 なぜ戦争をするのか?──。 まるで子供の質問のようだが、そんな書名の本がフランスで出版された。もっとも著者のフレデリック・グロ(55)に言わせるなら、哲学とは、子供の質問のような問いに大真面目に取り組み、合理的に考えていくことが多いのだという。 平和の時代に人はなぜ平和なのかと問わない。では、なぜ人は「なぜ戦争をするのか?」と問うのか。グロは162ページのこの著書で、人間の闇の部分を含むこの謎に取り組んでいる。その筆致は濃密かつ明快。かのレイモン・アロンの大著
<平和を維持してきたNPT(核拡散防止条約)が、独立後に核武装と決別し、主権と領土の保全を保障されたはずのウクライナへのロシア軍侵攻により、有名無実になった。これから核武装を目指す国は増えるだろう> ロシアのウクライナに対する軍事侵攻が世界に、そして人類の未来に及ぼす最も深刻な影響は何か。少なくともその1つは、核拡散防止条約(NPT)の存在意義を根本から否定しかねないことだ。 2014年のソチ冬季五輪後にロシアが力ずくでウクライナ領の一部(クリミア半島など)を奪い取ったことで、核兵器の拡散を防いで世界を守るというNPTのロジックは覆された。 ウクライナにはかつて核兵器があったが、1994年のNPT加入に当たり、全てを手放した。そこへロシアが攻めてきた。これではまるで、NPTは弱小国を無力化し、核武装国の餌食にするための条約に見えてしまう。 実際、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は昨年2
ロシア前大統領のメドベージェフ安全保障会議副議長は4日、2014年にロシアが併合したクリミア半島がウクライナから長距離兵器で攻撃された場合は核兵器を含むあらゆる手段で報復すると警告した。タス通信などが伝えた。 メドベージェフ氏はロシア人記者の質問に文書で回答。クリミアなど「ロシアの深奥部」が攻撃されれば「軍事ドクトリンに書かれている核戦力を含め、あらゆる兵器を使う。報復は速く、厳しいものになる」とし、核使用を辞さない考えを明確にした。 ウクライナによるクリミア奪還の試みはロシアを交渉に向かわせるどころか「残りのウクライナの地は復讐で燃えあがるだろう」と主張。「そんなことを考えるのはホワイトハウスや米議会に大勢いる不道徳な連中だけだ」と述べ、ウクライナへの追加支援としてクリミア攻撃が可能とされる長射程ロケット弾「GLSDB」供与を発表した米側を非難した。(共同)
ウクライナ南部にある旧ソ連の核基地を転用した「戦略ミサイル軍博物館」には、廃棄されたICBM「SS18」が展示されている (C)Zysko Sergii/shutterstock.com 独立後、残存する約5000発の核弾頭をロシアに搬出して非核化を実行したウクライナに、ロシアが核使用をちらつかせている。米バイデン政権は「戦略的あいまいさ」から対抗策を明らかにしないが、議会関係者からは密使を立てたバックチャンネル外交を行う案なども出されている。 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナに対して核兵器を使用したら、米国はどう対応するのか――。 ジョー・バイデン米政権の幹部はメディアからそんな質問をされても、正面から答えようとしない。だが実際には、緊張感が漲る舞台裏で、具体策を検討しているというのだ。 米国家安全保障会議(NSC)はウクライナ侵攻前に発足させた特別対策班「タイガー・チー
「カミカゼ・ドローン」と呼ばれるロシア軍の無人機が着弾し、爆風に舞う土砂=ウクライナの首都キーウで2022年10月17日、AP ロシアが2月にウクライナに侵攻して以降、世界に影を落とし続けるのがプーチン露大統領による核使用の懸念だ。仮に使用されるとすればどのような形を取るのか。ウクライナ戦争の分析で知られ、核抑止理論を専門とする防衛研究所の高橋杉雄・防衛政策研究室長に聞いた。【和田浩明】 危険な局面すでに3回 ――ロシアが核兵器を使う可能性はあるのでしょうか。現状をどう見ますか。 ◆今回の紛争ではこれまでに3回、ロシアによる核兵器の使用を懸念した局面がありました。1回目は3月中旬。ロシア軍は首都キーウ(キエフ)攻略を諦めて撤退しましたが、再攻略を目指して第2次攻勢をかけるならば核兵器が使用される可能性があると考えていました。 2回目は4月の東部ドンバス地域をめぐる攻防戦です。特に激戦地だっ
核兵器搭載可能なB52戦略爆撃機は既にヨーロッパに配備されている TREVOR T. MCBRIDEーU.S. AIR FORCE <アメリカも核兵器を使う可能性に言及するべきだ。「強力に対応する」と言うだけでは、核戦争を本当に防ぐ抑止策にならない> もしもロシアが核兵器を使えば、アメリカ合衆国は「強力に対応」する。ジョー・バイデン米大統領はそう言っている。だが、その際にアメリカも核兵器を持ち出すのか、それとも別な方法でロシアの核先制使用を抑止するのか。この点については政権幹部と軍部の間で見解が割れていると、事情に通じた3人が匿名を条件に本誌に語った。 「ここまで核兵器の使用に近づいたのは半世紀も前のキューバ危機以来だ」と言ったのは、米戦略軍の本部に詰める文民の計画官。「しかしわが国は、プーチンの暴走を止めるのに必要な正しいメッセージを送っているだろうか」 この核戦略計画官と2人の米軍幹部
Nuclear War Simulator Shows What War With Russia Would Look Like ロシアとNATOが核戦争に突入したら、数時間以内に何百万人もの死者が出る──最初の一発が発射された後、刻々と展開する恐るべきシナリオをリアルに示した動画がいま注目を集めている。 「プランA」と題した4分間の動画は、米プリンストン大学の科学・地球規模安全保障プログラムに携わる研究者たちが作成したもの。ロシアのウクライナ侵攻で核使用のリスクがかつてなく高まるなか、核戦争の影響を予測するシミュレーションに多くのビューワーが関心を寄せている。 ロシア軍は今年2月24日、首都キーウ(キエフ)近郊をはじめウクライナ各地に侵攻を開始。ウクライナ東部で2014年から続いていた戦闘が全土に拡大した。 ロシアのウラジーミル・プーチンが核使用に踏み切るかは不明だが、ウクライナにおける
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『公研』2022年7月号「対話」 ※肩書き等は掲載時のものです。 我々は「情報」をどう捉え、どう向き合っていけば良いのだろうか。 「オープン・ソース・インテリジェンス」は人と情報の関係をどこへ導くのか。 衛星写真をアーカイブしてウクライナの戦況を伝える 高橋 今日は、「情報」の本質について考えていきたいと思います。今まさにロシアとウクライナの戦争が激化しており、戦況が日々世界中に伝えられています。 渡邉先生は、ウクライナの衛星写真などをデジタルアース上にアーカイブすることで現地の戦況を伝える活動を展開されています。まずはそのコンテンツについてご説明いただけますか? 渡邉 私たちが今つくっているコンテンツ、「Satellite Images Map of Ukraine」(画像1)をご紹介します。 元々私は、現在進行中の戦争ではなく、広島・長崎原爆の被爆者証言など、太平洋戦争の資料をウェブ上
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元軍縮会議日本政府代表部大使 佐野利男 はじめに 今回のウクライナ侵攻は、「戦争の世紀」と言われた20世紀を乗り越え、国際社会が勝ち取った諸原則、すなわち主権尊重、政治的独立、領土保全、民族自決、紛争の平和的解決などを踏みにじる暴挙であり、「21世紀への挑戦」である。 この論考の前半では、ロシアの侵攻をなぜ抑止できなかったのか、ウクライナ侵攻が東アジアにどのような問題点を突き付けたのか、そして東アジアの危機を未然に防ぐために何をすべきかにつき考察するとともに、後半では、6月に開催された「核兵器禁止条約」の第一回締約国会議の結果を踏まえ、また8月に開催予定の「核不拡散条約(NPT)」運用検討会議を控え、今後の核軍備管理・軍縮の動向につき展望する。 1.ウクライナ侵攻 (1)抑止の失敗 (i)第一に、後世の歴史家は今回のウクライナ侵攻を「抑止の失敗」の典型例とみるだろう。あるいは、抑止の専門家
シャヒド国連総会議長(モルディブ)は、国連憲章を引用しながら「暴力を止めなければ」と発言した。 「現在進行中の軍事攻撃は、これと矛盾している。国連憲章は武力による威嚇や行使をせず、平和的手段で紛争を解決することを定めている」 「暴力を止めなければならない。人道法と国際人道法は尊重されなければならない。そして外交と対話が優位に立たなければならない」 グテーレス事務総長「もう、うんざりだ」 グテーレス事務総長も「ロシアのミサイルと空爆は、昼夜を問わずウクライナの都市を襲っている」とロシアの侵攻を非難した。 「首都キーウ(ロシア語表記:キエフ)は四方八方から包囲されている。 断続的な攻撃に直面する300万人の住民は自宅、間に合わせの防空壕、地下鉄への避難を余儀なくされている」 「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、すでに50万人のウクライナ人が国境を越えて避難しているという」 また、
「冷戦期に旧ソ連でどんな議論が交わされていたかを知る意味が増しています」。東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠さんは、ロシア専門家であるとともに、「軍事オタク」を自称する戦争研究者でもあります。その小泉さんに現代の戦争を理解するための本を挙げてもらいました。第1回は『死神の報復 レーガンとゴルバチョフの軍拡競争(上)(下)』です。このシリーズは4回連続で公開します。 第2回は5月16日 、 第3回は5月17日 、 第4回は5月18日 です。 綿密取材に基づく大著 ロシアのウクライナ侵攻で、「ロシアが核兵器を限定使用するのでは」「生物兵器を使うかもしれない」「プーチンが死んだら自動報復システムが作動する」といった説が出ていますね。それが現実のものとなるのかどうか、今回紹介する 『死神の報復 レーガンとゴルバチョフの軍拡競争(上)(下)』 (デイヴィッド・E・ホフマン著/平賀秀明訳
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