新しい研究によると、どこかの惑星で誕生した原始的な生命は広大な宇宙へと旅に出て、銀河にあまねく拡散する可能性があるそうだ。 地球の生命の始まりは、この宇宙にただよう生命の素であるという仮説を「パンスペルミア説」という。 『arXiv』(2024年2月8日投稿)では、どこかの惑星で誕生した生命が宇宙に広まる可能性を検討し、その速度を計算した未査読論文が閲覧できる。 それによると、生命は塵のような粒子に乗って高速で宇宙に拡散し、すでにこの天の川銀河全体を満たしていると考えられるという。
科学者たちは今年、気が遠くなるほど波長の長い重力波の検出に初めて成功した。この重力波は、イラストのようにお互いのまわりを回るブラックホールどうしが衝突・合体した後に生じた可能性が高い。(ILLUSTRATION BY MARK GARLICK, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 今年もまた、科学にとってすばらしい年となった。人類の科学研究の最新の成果はどれも興味深く、私たちに新たな謎を投げかけている。『ナショナル ジオグラフィック』が選ぶ、2023年で最も魅力的な大発見の数々をご紹介しよう。 1. 時空を伝わる巨大なさざ波を検出 天文学者たちは初めて、気が遠くなるほど波長の長い重力波を検出した。これらの“宇宙のさざ波”は、数十億光年の彼方で相互に作用し、合体する超大質量ブラックホールからの遠いこだまである可能性が高い。研究者たちは、パルサー(パルス状の電波を発しながら高速回転し
今から約38億年前に海の中で誕生したと考えられている地球上の生命は、環境の変化とともに進化と絶滅を繰り返しつつ、現在まで繁栄してきました。 デンマーク最大の宇宙研究機関であるデンマーク国立宇宙センター(DTU Space)の科学者チームは、地球の生命の生物多様性の変化と超新星爆発が関連しているという興味深いアイデアを提唱しています。 【▲ 超新星爆発によって発生した宇宙線が海洋に降りそそぐイメージ(Credit: Henrik Svensmark, DTU Space)】科学者チームは、過去5億年の間に起きた海洋生物の多様性の変化と、太陽系近傍での超新星の発生との間に強い相関関係があると考えています。この研究論文の著者であるヘンリック・スヴェンスマルク(Henrik Svensmark)氏は、超新星がもたらす影響の1つとして、地球の気候が変化する可能性を指摘しています。 そのプロセスは以下
探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った試料に、左手型のアミノ酸と右手型のアミノ酸がほぼ同数含まれていたと、九州大や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのチームが23日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。 地球の生命の起源はリュウグウのような小天体が宇宙から運んだとする「宇宙起源説」がある。もしリュウグウの試料に左手型のアミノ酸が多ければ、宇宙起源説の根拠となっていた可能性があった。チームは「今回の成果からは結論は言えないが、宇宙起源説を否定するものではない」としている。 有機物には、同じ化学式だが鏡に映したように構造が反転しているものがある。それを左右の手に例えて左手型、右手型と呼ぶ。数百種類あるアミノ酸の一部もこの性質を持つ。
太陽系の太陽に近い方から4番目にある火星地表には現在水が存在しませんが、太古の昔は水に覆われた惑星であったと考えられています。生命の誕生に欠かせない水が存在した太古の火星では、最初に誕生した生命が気候変動を引き起こし、これにより火星の環境は生命が存続できないほど寒くなった可能性を研究者が新たに提示しました。 Early Mars habitability and global cooling by H2-based methanogens | Nature Astronomy https://www.nature.com/articles/s41550-022-01786-w First Martian life likely broke the planet with climate change, made themselves extinct | Live Science https
キャノーラ(アブラナ)の苗は、酢酸塩を栄養分として取り込むことができる。酢酸塩は単純な有機物で、太陽光発電した電気を用いて二酸化炭素や水などから作ることができる。(PHOTOGRAPH BY MARCUS HARLAND-DUNAWAY) SF作品では、火星の地下都市、太陽から遠く離れた宇宙ステーションなどでの未来の暮らしが描かれる。地球上とは全く異なるこうした過酷な環境で人間が生き延びるためには、限られた資源を活用して食料を生産しなければならない。植物が太陽光を糖に変える光合成は、地球上では大成功を収めているが、エネルギー効率が悪いため、地球の外では役に立たないかもしれない。 そこで一部の科学者たちは、光合成に頼らず植物を育てることで、より効率よく食料を生産できるのではないかと考えるようになった。 火星の都市と同じくらいSFじみた話だが、ある研究チームが6月23日付けの学術誌「Natur
戸谷 友則(天文学専攻 教授) 発表のポイント 宇宙の中で非生物的な現象から生命が誕生したことについて、これまでで最も現実的なシナリオを見いだしました。 生命科学と宇宙論という、これまでほとんど結びつきがなかった二分野を組み合わせ、インフレーション宇宙という広大なスケールで、生物的活性をもつRNAが非生物的に誕生する確率を初めて計算しました。 宇宙は十分に広く、生命は非生物的な過程から自然に発生しうることを示しました。一方、このシナリオが正しければ、地球外生命を我々が将来発見する確率は、極めて低いと予想されます。 発表概要 生命が存在しない状態から、どのように生命が発生したのでしょうか。自己複製できる高度な遺伝情報を持った生命体が、非生物的でランダムな反応から偶然生じる確率はあまりにも小さいと考えられてきました。しかし最新の宇宙論によれば、宇宙は我々が観測可能な距離(138億光年)のはるか
オーストラリアで見つかった隕石(いんせき)が、生命の設計図である遺伝子に使われるすべての核酸塩基と呼ばれる物質を含んでいることを発見したと、北海道大学などの国際的な研究グループが発表し、隕石によってもたらされたこうした物質が、生命誕生に関与した可能性があるとして注目されています。 北海道大学の大場康弘准教授などの国際的な研究グループは、50年余り前にオーストラリアで見つかった「マーチソン隕石」と呼ばれる隕石に含まれる物質を詳しく調べました。 その結果、生命の設計図として機能するDNAやRNAに使われているアデニンやチミン、それにウラシルなど合わせて5種類の核酸塩基と呼ばれる物質すべてが検出されたということです。 研究グループによりますと、5種類の核酸塩基すべてが1つの隕石から検出されたのは初めてだということです。 また、これとは別の核酸塩基も13種類見つかったということです。 研究グループ
真正粘菌の一種、モジホコリ。仏パリ動物公園で(2019年10月16日撮影)。(c)STEPHANE DE SAKUTIN / AFP 【8月18日 AFP】国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士らは、極めて異色の客を出迎えた。その客とは、10日に地球周回軌道に打ち上げられた「ブロブ(Blob)」だ。 同名の映画で地球に降り立った地球外生命体さながらブロブと呼ばれる粘菌は、分類が難しい生き物だ。植物でも動物でも、キノコやカビでもない。 それ故に長年、科学者らを魅了してきた真正粘菌の一種「モジホコリ(Physarum polycephalum)」が今回、ユニークな実験に参加する。この実験は上空400キロにいる宇宙飛行士と、フランスにいる多数の学生によって同時進行で行われる。 真正粘菌が地球に最初に現れたのは約5億年前。その体は多数の核を持つ一つの細胞で構成されていることから、従来の
国際宇宙ステーションで採取されたサンプルから4種の菌株を分離し、3種はメチロバクテリウム属する新種だった...... wikimedia <国際宇宙ステーション(ISS)で採取されたサンプルから、4種の菌株を分離し、そのうち3種は新種だった......> アメリカ航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(JPL)、南カリフォルニア大学(USC)、印ハイデラバード大学らの共同研究チームは、国際宇宙ステーション(ISS)で採取されたサンプルから、4種の菌株を分離した。 いずれも地球の土壌、淡水などに広く生息するメチロバクテリウム属に属し、そのうち3種は新種であった。一連の研究成果は、2021年3月15日、学術雑誌「フロンティアーズ・イン・マイクロバイオロジー」で発表されている。 「宇宙で植物を栽培するために有用な遺伝的決定基を持っている」 ISSでは、乗員のテリー・バーツ飛行士が2015年に施
1986年に史上最悪レベルの原子力事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所で発見されたカビを使って、宇宙を飛び交う放射線から宇宙飛行士を守る試みを、ノースカロライナ大学シャーロット校とスタンフォード大学の研究チームが行っています。研究チームは、国際宇宙ステーション(ISS)における実験で「一定の成果が得られた」と報告しました。 A Self-Replicating Radiation-Shield for Human Deep-Space Exploration: Radiotrophic Fungi can Attenuate Ionizing Radiation aboard the International Space Station | bioRxiv https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.07.16.205534v1 Test
【8月8日 AFP】月面上に、ついに生命体が存在している可能性が出てきた。強烈な放射線や超高温、極寒にも耐えることができ、餌なしで何十年も生き長らえることが可能な「最強生物」だという。こう聞くと恐ろしい生き物のようだが、その正体は異星の生命体ではなく、地球の微小生物「クマムシ」だ。 4月に月面着陸に失敗し、墜落したとみられるイスラエルの探査機ベレシート(Beresheet)にクマムシを入れた装置が搭載されており、クマムシが事故を生き延びた可能性があるという。 6日にこの発表を行ったのは、民間非営利団体(NPO)「アーク・ミッション財団(Arch Mission Foundation)」。同財団は、人類の知見や地球の生物相をデータベース化し、それを太陽系に広く送ることを目指して活動しており、未来への贈り物として「銀河系百科事典」を作るような試みだと説明している。 設立者のノバ・スピバック(N
by Juhasz Imre クマムシといえば極度の乾燥状態や絶対零度に近い低温環境、高い放射線量や真空状態にも耐える驚異的な生命力を持つ、非常に小さな動物として知られています。そんなクマムシが月面に衝突した月探査機に乗っていたことが判明し、「もしかすると月面でクマムシが繁殖するかもしれない」と話題になっています。 Tiny tardigrades crash-landed on the Moon and probably survived | Ars Technica https://arstechnica.com/science/2019/08/tiny-tardigrades-crash-landed-on-the-moon-and-probably-survived/ イスラエルの民間宇宙開発団体・SpaceILは2019年2月、民間初の月面着陸を目指して月探査機「Bereshee
<国際宇宙ステーション(ISS)での滞在中、潜伏中のヘルペスウイルスが再活性化することがわかった> 宇宙飛行は、私たちが想像する以上に過酷だ。宇宙空間を飛び交う宇宙放射線にさらされながら、閉鎖環境に閉じ込められ、無重力状態で暮らすこととなる。そしてこのほど、宇宙飛行によって潜伏状態のヘルペスウイルスが再活性化する確率が高まることが明らかとなった。 宇宙飛行している間、ストレスホルモンの分泌量が増加 アメリカ航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センターらの研究チームは、2019年2月7日、「スペースシャトルや国際宇宙ステーション(ISS)での滞在中、潜伏中のヘルペスウイルスが再活性化することがわかった」との研究結果を学術雑誌「フロンティアーズ・イン・マイクロバイオロジー」で発表した。 研究チームでは、宇宙飛行前、宇宙飛行中、帰還後にそれぞれ採取した宇宙飛行士の唾液、血液、尿の検体を分析した。
最近、宇宙生物学(アストロバイオロジー)という研究ジャンルをよく耳にするようになった。 字面を素直に解釈するならば、「宇宙の生物を研究する」学問ということになる。 とすると、「宇宙人の研究?」という連想も成り立つだろうし、実はNASAは極秘裏に宇宙生命体との接触に成功しているが秘密にしている、というような謀略論、陰謀論にもつながりうる。 そこまでいかずとも、どこかSFめいた、浮世離れした研究であると思われがちだ。 しかし、現実にはすでに20年以上の歴史がある研究分野だ。1995年、当時のNASA長官ダニエル・ゴールディンが、カリフォルニア州のエイムズ研究センターにて記者会見を行い、これからは"Astrobiology"という言葉を公式に使うと宣言したとされる。エイムズ研究センターは、その拠点に指定された。その後、「宇宙生物学」は着実に存在感を増し、今では国際学会も頻繁に行われている。そこに
人が火星に移住しようと考えたとき、最初に必要なものは呼吸を行うための酸素であると言われています。オーストラリア国立大学の名誉教授であるエルマーズ・クラウス氏らの研究チームは、植物の生育に適さない日照条件の環境であっても、光合成によって酸素を生み出すことができるバクテリアを発見したとのことです。 Photochemistry beyond the red limit in chlorophyll f–containing photosystems | Science http://science.sciencemag.org/content/360/6394/1210 Weird low-light bacteria could potentially thrive on Mars | Fox News http://www.foxnews.com/science/2018/06/18/we
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