木村瑛子(きむら・えいこ)さん(73)=大阪市 精神疾患を抱える患者の家族らでつくる「大阪府精神障害者家族会連合会(大家連)」(大阪市)の副会長。府内約40の家族会を束ねる団体の幹部として、行政が開く委員会に参加して家族の立場から意見を述べたり、電話相談に対応したりと、多忙な日々を送る。「差別や偏見はいまだ根強い。悩む家族をサポートしたい」と話す。 長女(40)も統合失調症に苦しんだ。発覚は約20年前。不眠を訴えて梅酒をたくさん飲み、急性アルコール中毒で病院に運ばれた。精神科で受診するよう勧められ、統合失調症と診断された。「親の育て方が悪かったんでしょうか」「いえ、100人に1人くらいの割合で発症する病気です」。医者とのそんなやりとりを覚えている。
回復支援の基本法制定に意欲を示す横川理事長(中央) 覚せい剤など薬物依存症者の家族会でつくるNPO法人全国薬物依存症者家族会連合会(横川江美子理事長)は5月27日、薬物依存症者が医療や福祉サービスの利用により回復できる社会を目指そうと呼び掛ける集会を千葉市内で開いた。刑事罰を科すだけでは薬物依存の問題が改善しないとの考えが浸透してきたことを受け、回復を支える基本法の制定も働き掛ける。 約130人が参加した同日の集会では、依存物質を完全に断ち切ることにこだわらず、その摂取による実害を減らす政策「ハームリダクション」を導入したオーストラリアの例を、同国の専門家を招いて学んだ。 日本国内でも近年、その考え方が認知され、アルコールやギャンブルの依存からの回復を支える基本法の立法化が進んでいる。 自助グループや、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスとして回復支援プログラムを行う事業所など福祉の領
春は何かを始めるのに、いい季節です。京都府京丹波町の菅原研治さん(50)から、こんなファクスが届きました。 〈4月から大阪の学校で福祉学科の非常勤講師として、お世話になります〉 菅原さんは、高齢者や障害を持つ方への介護サービスなどを行う「サムライ」というNPO法人の理事です。 それにしても「サムライ」とは、福祉系の団体名にしては変わっています。理由は、後半に記された異色の経歴を読んでわかりました。 〈私は15歳で芸能事務所に入り、時代劇の『水戸黄門』や『遠山の金さん』に浪人役などで出演してきました〉 役者さんだったのです。でも、なぜ芝居から福祉の世界に? これはもう会って伺うしかありません。 「時代劇のほかには、Vシネマの『ミナミの帝王』に組幹部の役で出演したこともあります。全部、脇役、悪役ですけどね」 そう言って笑う菅原さんは、身長1メートル82、体重100キロ。「組幹部」役も適任な体格
精神障害者の家族会で構成する全国精神保健福祉会連合会(本條義和理事長、通称=みんなねっと)は13日、大阪府寝屋川市、兵庫県三田市で精神障害者が自宅で家族により長期間監禁された事件が発覚したことを受け、見解を表明した。家族が社会から孤立し、ストレスを抱えているとして、医療アクセスの改善などが必要だと訴えた。 監禁事件の背景に、「治療を受けることへの抵抗感」「周囲から隠そうとする心理」「病状が悪化したときにとる手段がほとんどないこと」があったとみている。 寝屋川の事件では統合失調症の女性(33)が10年以上監禁された末、昨年末に死亡。三田の事件では精神障害のある男性(42)が20年以上監禁され、今年1月に福祉施設に保護された。 同連合会が4月3日に公表した全国調査によると、日中、家にいて何もしない精神障害者が2割いること、家族の7割が日常的にストレスを抱えていることが分かった。 同連合会は調査
週プレNEWS TOPニュース社会作者自らが赤裸々告白し反響を呼ぶ、漫画『セックス依存症になりました。』ーー「心の中で悪魔が囁くような感じでした」 漫画『セックス依存症になりました。』の監修をしていただく斉藤章佳氏(左)と作者である津島隆太氏4月13日より、『週プレNEWS』で新たに連載をスタートし、反響を呼んでいる漫画『セックス依存症になりました。』――本作がデビュー作となる漫画家・津島隆太氏が自身の壮絶な実体験をベースに性依存症の実態、そして克服への道のりを描く異色作だ。 今回、その津島氏と本作の監修を務める精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳(あきよし)氏との対談が実現。現在も依存症からの回復の半途にいる津島氏が、2千人以上の性犯罪加害者と面談してきた斉藤氏とともに知られざるその実情を明かす! 前編『“楽しくない、でもやめられない”苦悩とは』では「彼女にハンマーで殴られても、他の女性
なぜ人は働くのだろうか。理由はいくつもある。「収入のため」「自己実現のため」、そして「社会に役立つため」などさまざまだ。それは、障害のある人もない人も変わらない。 障害者雇用促進法が改正され、4月から法定雇用率が2.2%に上がった。また、これまで法定雇用率の算定基礎に入っていなかった「精神障害者」が新たに加えられた。 精神障害者の雇用を進めなければならないが… 昨今よく話題になり、身近になってきた発達障害は、多くの場合「精神障害者保健福祉手帳」を取得しているため「精神障害」に含まれる。勤労可能な状況にある知的障害者で企業などに雇用されている人も少なくなく、法定雇用率を達成するには、精神障害者の採用を増やす必要があるというが、雇用主側としては雇用経験が乏しいため、対応に追われているのが実情だ。 障害者の就労は、近年急速に増えている。2016年度にハローワークに新規で求職の申し込みをした障害者
厚生労働省は、「地方公共団体による精神障害者の退院後支援に関するガイドライン」を作成した。都道府県や保健所設置自治体が対象で、退院後の支援が必要な精神障害者に関して、医療などの支援内容を記載した退院後支援に関する計画を作成する必要性を指摘。本人や家族などの支援者に対しても「計画作成に参画できるよう十分な働きかけを行う必要がある」としている。【新井哉】 ガイドラインでは、措置入院について、都道府県知事などが退院の決定を行うことに触れ、「退院後支援についても、自治体が、入院中から入院先病院と協力しつつ検討を行う必要性が高い」との見解を示している。 退院後の支援対象...
発足した「精神疾患の親をもつ子どもの会(こどもぴあ)」のメンバーら=東京都港区の東京都障害者福祉会館で2018年1月21日 精神疾患を抱える親に育てられた子どもたちを、同様の境遇の人たちがサポートする「精神疾患の親をもつ子どもの会(愛称・こどもぴあ)」が21日、東京都内で発足した。2016年の障害者白書によると、国内の精神障害者は推計392万4000人。しかし、その子どもの支援は進んでいないため、同じ立場の経験者が初めてボランティアで団体を結成した。 被害妄想や幻聴に苦しむ親におびえたり、親の代わりに全ての家事を担ったりする子どもたちがいる。関係が苦しくても相手が親のため周囲に相談できず、大人になっても生きづらさを抱えているケースが多い。
エヴァートンに所属する元イングランド代表MFアーロン・レノンが、大晦日にファンへ向けてメッセージを発信し、自身が罹患した精神疾患について言及した。31付のイギリス紙『デイリー・ミラー』が報じている。 レノンは4月30日に道路上で20分以上立ち尽くしていたところを保護され、5月から精神保健法の適用下に置かれた。ストレス性疾患と診断され治療生活に入ったレノンだが、その後症状は回復に向かい、夏にはプレシーズンのトレーニングに復帰。今シーズンは既に17試合に出場している。 自身のTwitterでレノンは、「2017年は決して忘れられない年になったし、こういう形で1年の終わりを迎えられたことに関しては、お礼を言いたい人が数えきれないほどいる」とまず周囲への感謝を述べ、家族や友人、エヴァートンとそのファンに加え、自身が治療を受けたロンドンのプライオリー病院の関係者の名前を挙げた。 そして自身と同様に精
警察庁がパチンコとパチスロの出玉規制を強化する方針を決めた。ただ、依存症の問題に携わる人たちは改正案の効果を疑問視している。 パチンコ店は全国に約1万1千あり、レジャー白書によると、市場規模は2015年で23兆2千億円、遊技人口は1070万人に上る。競馬、競輪などの公営ギャンブルの売り上げは計4兆7千億円だ。 依存症の人や家族を支援するNPO法人「ギャンブル依存ファミリーセンター ホープヒル」(横浜市)の町田政明理事長は「依存症は病気であり、出玉を下げることでなくなるわけではなく、根本的な解決につながらない」と指摘し、「自助グループや施設で回復に努められる仕組み作りが大事だ」と話す。 一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表は「勝てないと思っても手を出すのが依存症なので、規制の効果は未知数だ」と述べる。その上で、客が自ら使う上限額を決める「自己申告プログラム」について、
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