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ブックマーク / www.yuhikaku.co.jp (12)

  • 書斎の窓 2018年5月号 『社会学入門――社会とのかかわり方』 稲葉振一郎

    書は極めて野心的な、ある意味では画期的な社会学教科書である。 従来の社会学の入門教科書のスタンダードな書き方としては、理論を中心とした社会学の学説史を一通り解説したうえで、その切れ味を実地の現代社会の分析において例示してみる、というものであった。しかしながら社会学における支配的な理論枠組み、通説の不在という現状は、このような書き方を困難にする。今日の日におけるオーソドックスな社会学教科書の書き方は、多数の現状分析の例示の列挙であり、かつ、実証的社会学研究のカバレッジの広さに鑑み、分担執筆というものであるが、複数の著者間での分担という形式それ自体に加えて、書き手の間で共有される通説の不在が、教科書から統一感を奪う。 そのような現状に対して書の新しさは2つの点において目立つ。まず、書は単著ではないものの、2名という少数の著者の緊密な共同作業によって、極めて統一感ある仕上がりとなっている

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    ytn 2018/04/28
  • 書斎の窓 2016年7月号 『現代哲学キーワード』(有斐閣双書キーワード) 野家啓一

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    ytn 2016/09/16
  • 書斎の窓 2016年9月号 ウェーバーの社会学方法論の生成②人文学と自然科学の間で 佐藤俊樹

    1. 前回、M・ウェーバーの社会学方法論が、哲学者のリッカートと生理学者で統計学者のフォン・クリースという、2人の学者の影響の下に形成されたことを述べた。日語圏では今日でも、ウェーバーの方法論はリッカートの延長上で解説されることが多いが、実際には(a)リッカートの主張の重要な一部をウェーバーは明確に否定した、そして(b)そこにはv・クリースの方法論が決定的に関わっていた。 その点を考えると、リッカートの「文化科学/法則科学」の図式を使って、ウェーバーの社会学を位置づけることも適切とはいいがたい。例えば「「文化科学」的「法則科学」」(折原浩『マックス・ヴェーバーにとって社会学とは何か』勁草書房、2007年、13頁、傍点は著者による)のような表現は、誤解をうむだけだろう。ウェーバーの社会学は文化科学でも法則科学でもないのだから、法則科学的文化科学でもなければ、文化科学的法則科学でもない。ウェ

  • 書斎の窓 2016年7月号 ウェーバーの社会学方法論の生成①社会科学は何をする? 佐藤俊樹

    1. たぶん私の専門分野は社会学になるのだろうが、実は勤務先の大学では、1〜2年生に統計を教えている。これはこれで結構楽しい。 社会学と統計学は、ふつう思われているより、はるかに関係が深い。例えば、社会学の基的な分析手法はM・ウェーバーによって形作られたといっていいが、その方法論に大きな影響をあたえた学者は2人いる。1人は新カント派の哲学者H・リッカート、もう1人は生理学者で統計学者のJ・フォン・クリースだ。著作でいうと、リッカートの『自然科学的概念構成の限界』(1902年)、v・クリースの『確率計算の諸原理』(1886年)である。 そして、これはきわめて現代的(アップ・トゥー・デイト)な問題でもある。2人の専門分野からわかるように、ウェーバーの方法論の形成は、文科系の学術と理科系の学術がどう関わりあうかへの彼なりの答えでもあった。向井守が『マックス・ウェーバーの科学論』(ミネルヴァ書房

  • 国立大学の憂鬱 ――批判のレトリックをめぐる攻防 - 苅谷剛彦 - 書斎の窓 | 有斐閣

    2015年9月、海外の日研究者を中心に、日の国立大学の人文・社会系学部廃止に抗議する声明への賛同を求めたり、文部科学省に対する抗議文への署名依頼を求めるメールがたびたび届くようになった。2015年6月に出された下村博文文部科学大臣名による国立大学学長宛の「通知」が巻き起こした海外での反応である。内容はどれも類似していて、文科省の愚挙への怒りや抗議に満ちていた。Times Higher EducationやJapan Timesが報じた記事などへのリンクが貼られていることがしばしばあった。 通知の問題箇所は次の通り。 「特に教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院については、18歳人口の減少や人材需要、教育研究水準の確保、国立大学としての役割等を踏まえた組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする。」 この「組織の廃止」

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    ytn 2016/06/14
    ”議論の提示の仕方自体が、「経済の要請」のなんたるかを具体的には特定できずに、入手のしやすいデータだけに頼って安易な判定をくだそうとする、エビデンスをめぐるヘゲモニー争いともいうべき議論のあり方へ”
  • 「社会学はどこからきて、どこへ行くのか? 第6回 他者の合理性の理解社会学」書斎の窓 | 有斐閣

    東京大学大学院情報学環教授 北田暁大〔Kitada Akihiro〕 龍谷大学社会学部教授 岸政彦〔Kishi Masahiko〕 北田 『同化と他者化』ってすごくオーソドックスななんですよ。ちゃんと背景をがっちり調べて、そしてインタビューで調査して、そこから導かれる理論的な知見を出して、ものすごい愚直な。愚直というか、近年まれに見る王道的なものなんですよね。そこでなされている作業っていうのが、僕にとってすごく面白かったですね。たとえば、まず一人ひとりの動機っていうのを書いちゃう。その動機が発生してくる背景も外在的だとか何とかと言われても、ちゃんと説明してやる、っていう気概のすごく直球なスタイル。そのなかでフィールドの実態を浮かび上がらせて、最後に理論的な知見を出す。すごく標準的なものに見えるんだけど、最近そういうのってなかったんですよね。少なくとも、僕はそう思っています。ここで採られ

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    ytn 2016/06/14
    ”行為の意味を理解するっていうのは格好いいことのように言えるんだけど、行為者にとって最適な生き方みたいなものを羅列して提示しているわけで、実は拡張された機能主義――全体性を設定しない機能主義――に”
  • 書斎の窓:社会学はどこからきて、どこへ行くのか?/第5回 社会学における「理解」 | 有斐閣

    東京大学大学院情報学環教授 北田暁大〔Kitada Akihiro〕 龍谷大学社会学部准教授 岸政彦〔Kishi Masahiko〕 岸 先にウェーバーから始まったと言った「第二の話法」はどうですかね。たとえば行為者の話に限定すると、ぼくらが何をやっているかというと、調査対象であるところの行為者あるいは行為者集団の合理性を記述しているわけなんですよね。 北田 そうですね。 岸 社会学のやってきた仕事って、そもそもこういうことだと思っているんです。ウェーバーが行為者の「理解」をするんだと。じゃあ「理解する」ってどういうことかというと、ウェーバーは「行為者っていうのは合理的だ」と。まあ合理性にもいろいろとあるんだけど、「社会学者は行為者の動機を記述しなさい。行為者の行為の動機を記述することが理解なんだ」と。こういうふうに言ってる。要するに「わかるはずだ」。行為者には「理性」があって、ただこれに

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    ytn 2016/04/23
    1、岸政彦はデイビッドソニアンなのか? 2、岸政彦は「理解」についてのEMCAの考え方(とにもかくにも理解とはできてしまうものだ)に対してどう思ってるのか? は気になる。
  • 書斎の窓 | 有斐閣 連載 社会学はどこからきて、どこへ行くのか? 第4回 社会記述のこれから 東京大学大学院情報学環教授 北田暁大〔Kitada Akihiro〕 龍谷大学社会学部准教授 岸政彦〔Ki

    東京大学大学院情報学環教授 北田暁大〔Kitada Akihiro〕 龍谷大学社会学部准教授 岸政彦〔Kishi Masahiko〕 北田 ここから岸さんのほうから事前にいただいた「社会の進化や変化を語るということが、社会学の『習い性』になっているのではないか?」という問題提起について考えてみたいと思います。つまりなにか充実したものがあって、それが希薄化して、消失していく。こういう図式、たとえば「マスコミから2ちゃんねるの時代を経てLINEへ」みたいな。 岸 書けちゃう書けちゃう。 北田 でしょう。まったく同じ図式で書けちゃう。この反復性みたいなものってどうなんでしょうね。つまり社会が「t型社会」から「t+1型社会」へと進化するという考えの元になっているものはなんなのか、と。 岸 この対談のテーマでもありますけど、社会学って大雑把に「なにを結局やってきたんやろな」っていう話ですが、じつは2

  • 北田暁大・岸政彦「社会学はどこからきて、どこへ行くのか? 第3回 必要とされる社会学と調査史」 - 書斎の窓 | 有斐閣

    東京大学大学院情報学環教授 北田暁大〔Kitada Akihiro〕 龍谷大学社会学部准教授 岸政彦〔Kishi Masahiko〕 北田 (調査をするのは)社会学者じゃなくていいわけだから。 岸 あ、計量ができたら、それでいいって思われたわけ? なるほど。 北田 そう。でもそれなら、もう一方でルーマンとかハーバーマスみたいな理論の人が、それをちゃんとガードしなきゃいけないはずなんですよ。社会学だからこそできる精度のある調査ってものがある、と。でもあの人たちはまるっきり関心ないし、弟子たちもまるっきり関心ないでしょ。それで、みんな「死」に向かっている。ズーアカンプも――言ってみれば日なら岩波書店みたいなところですけど――社長が替わって、このままでは「大塚家具」みたいになりかねない……みたいなことが言われてて、ズーアカンプのあの分厚いシリーズだって、なくなる可能性だってある。 岸 それは要

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    ytn 2015/11/15
    北田"コンサル会社に2,000万出してやらせているところを、大学の社会学者に500万出してくれたら大喜びでやるし、ぜんぜん精度が高いものをやるはずなのに、なんとなく「都合のいいもの」だけをみせてくれる人たちに"
  • 北田暁大&岸 政彦「(連載・対談)社会学はどこからきて、どこへ行くのか?:第2回 社会調査と社会学の変貌」 - 書斎の窓 | 有斐閣

    東京大学大学院情報学環教授 北田暁大〔Kitada Akihiro〕 龍谷大学社会学部准教授 岸政彦〔Kishi Masahiko〕 岸 こないだ僕の大阪の研究会に北田さんが来てくれて、こんな話になりました。たとえば「社会意識」っていうときに、ものすごく全然違う2つのものを一緒に社会意識って呼んでて、1つは見田宗介の『まなざしの地獄』とかが代表です。あれは極端な例から、同時代の集合的な「社会意識」というもののあり方を抽出して、で、こうなる! みたいな。それが社会意識論って言われていた。 でも、じつは社会意識論って、同じ言葉で同じ授業で、ほとんどの大学でされているのは、社会心理学者がゴリゴリの計量でやってるやつだったりします。それも社会意識論って言われていて、たとえば、ケガレ意識が強い人ほど部落差別をする人が多い、みたいな感じのクロス集計、回帰分析をひたすらやっている。じつは量からいえば、そ

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    ytn 2015/09/07
    続きキター!最近『現代思想』に連載してる論文の背景はこういう意図だったと。岸さんのこないだの桜井厚批判もこういう下地があってのことだったのか。/エコロジカルファラシーの話。私、気になります!
  • 佐藤俊樹(2014)「「社会の心」のココロとは」(書評:『現代日本の「社会の心」――計量社会意識論』) - 書斎の窓 | 有斐閣

    1 社会学者をやっていると、必ず聞く悪口がある。「社会学って役に立たない」「社会学が良い社会をつくれるわけじゃない」「やれるのはデータを調べるくらい」。 たしかに、目に見えて「役に立つ」とはいいにくい。社会学者に社会をつくらせたら、トンデモナイものができそうだ。けれども「データを調べるだけ」と言われると、とても変な気がする。まるで石ころのように、データが転がっているみたいだからだ。 もちろん、意図的にそう見せているものもある。TVや新聞が「緊急調査!」と銘打ってニュース代わりに使うものなどは、良い例だろう。「安倍内閣を支持しますか支持しませんか」「原発再稼動に賛成ですか反対ですか」。ときどきの話題や事件に絡ませて賛否をきけば、答えは返ってくる。おかげで、世論を「棒グラフや円グラフで表しうるソリッドな意見の塊」(書4頁)のように思っている人も少なくない。 でも、もしあなた自身がきかれたらど

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    ytn 2015/07/03
    "まるで石ころのように、データが転がっているみたいだからだ...世論や社会意識の調査は...だとすれば、それは一体何を語っていることになるのだろうか。"
  • 北田暁大・岸 政彦「社会学はどこからきて,どこへ行くのか?:第1回 1990年代の「社会学」」 - 連載・対談 - 書斎の窓 | 有斐閣

    東京大学大学院情報学環教授 北田暁大〔Kitada Akihiro〕 龍谷大学社会学部准教授 岸政彦〔Kishi Masahiko〕 岸 この対談は、「社会学はどこからきて、どこへ行くのか?」というテーマで進めたいと思います。社会学の現状を、研究環境や研究動向から、おおまかに捉えて、もういちど考えようと思っています。まず簡単に自己紹介から始めます。僕は2年前に、戦後の沖縄のことを論じた『同化と他者化――戦後沖縄の土就職者たち』(ナカニシヤ出版、2013年)というを出版して、そのあと『街の人生』(勁草書房、2014年)という、生活史のインタビューをそのまま載せたを書いていますが、を書くようになったのはこの2年くらいです。このあとも何冊か、順次出ることになっています。北田さんは、僕から見ると若いときから世に出ていた方で、1970年前後生まれの同世代のなかでは、燦然と輝くスターです(笑)

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    ytn 2015/07/03
    "岸 そう。じつは日本の社会学って、ものすごく地道に社会調査をずっとやってきている業界なんですね...そこで都市下層とか、人権とか貧困の問題で、地道な調査の膨大な蓄積があるんです。"
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