終戦の日を活写した半藤一利の不朽のベストセラーを、漫画界のレジェンドがコミカライズ。コミック『日本のいちばん長い日 上・下』がいま話題になっている。降伏か、本土決戦か、それとも……。独自の新解釈で運命の24時間を描いた漫画家の星野之宣さんに、コミック版ならではの読み所についてお聞きした。 父に連れられて観た映画版 ――漫画化の話があった時は、どうお感じになりましたか? 星野 私は昭和29年生まれで、太平洋戦争はもちろん経験していません。ただ、子供の頃、街角に傷痍軍人が立っていたり、親世代の体験談を聞いたりして育ってきました。ある種のリアリティをもって、あの戦争を描けるかもしれないぎりぎり最後の世代なんじゃないかと思ったんです。 1967年公開の映画版は、中学生の時に、父に連れられて映画館で観ました。その父も終戦時に中学生(高等小学生)だったんですが、玉音放送を聞いた時の日記をつけていて、晩