欧州は今、フランスが従来主張してきたアメリカ依存の安全保障体制から脱却し、欧州軍を創設する本格的な議論が再燃している。 9月2日にスロベニアで開催されたEU外相の非公式会合に参加したボレル外交安全保障上級代表(EU外相)は「歴史を進める出来事が時折起こる。アフガニスタンはその1つだと考える」と述べ、EU加盟国が11月までに計画を策定する方針を示した。具体的にはNATO(北大西洋条約機構)とは別に、即時出動できる5000人の初動部隊を想定している。 ■同盟国との十分な調整をしていなかったアメリカ きっかけは、アメリカ軍のアフガニスタンからの完全撤退に対する欧州諸国の失望だ。今年1月に誕生したアメリカのバイデン政権に対して、欧州諸国は大きな期待を寄せていた。アメリカ第一主義のトランプ前大統領に対しては、ドイツ、フランス、イギリスなどが批判的で、フランスの元欧州問題担当相のナタリー・ロワゾー氏は