安倍晋三首相は2月28日夜、今国会の最重要課題に位置付ける「働き方改革法案」から、裁量労働制に関する部分を削除して提出することを決めた。同制度をめぐるデータ不備が続出し、国民の理解を得られないと判断した。背景には「倒閣運動に加担しているのではないか」(官邸周辺)との疑問が出るほど、厚労省への強い不信感があるとみられる。野党は引き続き、同法案の問題点を追及する構えで、紛糾は収まりそうにない。 「国民が疑念を抱く結果になっている。働き方改革法案のなかで、裁量労働制は全面削除するよう指示した。この国会において、しっかりと法案を成立させたい」 安倍首相は1日未明、官邸で記者団にこう説明した。 これに先立つ28日夜、安倍首相は官邸で、加藤勝信厚労相や自民党の二階俊博幹事長、公明党の井上義久幹事長らと会談し、「働き方改革はアベノミクス最大のチャレンジで、今国会最大の重要法案だ」と述べ、法案成立への協力