以下は、早朝勉強会及び大学の「文化人類学Ⅱ」のレポート用に『危機の構造』(小室直樹著 中央公論社 1991)を要約したものである。 まず、第一章の要約を載せておく。 (開始) 『危機の構造』要旨 P7~P35 近代国家のひとつの要素である近代デモクラシーの理念は、制度は作為であり、人の手で変えたり壊したりできるというものである。日本も近代憲法を輸入するなどデモクラシーという体制へと切り替えようとした。しかし、日本では明治期以降、欧米列強に独立国家という承認を得る必要から近代理念を輸入したに過ぎず、西洋のように歴史の中で長い時間をかけて形成したわけではないという現実があった。この、現実と理念の矛盾を象徴しているのが戦後デモクラシーであり、「制度や慣行は確固不動の所与である」という認識のため、機能しないどころか支障をきたしているのである。例えば、ロッキード事件とニクソン追放を比較すればそれがわ