「たぶん恐怖は一生消えないと思います」 話は2月21日に戻る。 新潟の名産などを食べながら、彼は自分に起こったことを細かく話してくれた。周りからすれば想像を絶するほど辛く、重い経験であり、簡単には表現できないものが多くあった。しかし、こちらのそんな重い感覚とは裏腹に、彼自身はハキハキとこれまでの思いを話していった。 その姿を見ているだけでも、この2年間で、いかに彼が人間としての強さを身につけていったのかが分かった。それと同時に、時折見せる影の部分をも、リアルに感じることができた。 「病魔からの復帰」という言葉だけだと、非常に聞こえは良い。だが、一番大切なのは早川史哉という1人の人間の命なのである。その挑戦が命を縮める無謀なチャレンジであっては、意味がない。 「たぶん恐怖は一生消えないと思います。今は治ったかもしれないけど、今後も身体のどこかにまだこの病気が隠れているかもしれないという恐怖と