展示内容が政治活動に当たるとして、会場の新宿・ニコンサロンがいったん開催中止を決めた、韓国人写真家安世鴻(アンセホン)さん(41)=名古屋市在住=の写真展「重重-中国に残された朝鮮人元日本軍『慰安婦』の女性たち」は、開始から十二日目を迎えた七日、来場者が七千人に達した。会場入り口ではセキュリティーチェックがあり、主催者ですら内部撮影も禁止。物々しさは続いているが、安さんは手応えを感じている。 会場に並んだ四十点のモノクロ写真は日本軍の慰安婦とされ、戦後も中国各地に残された朝鮮人女性の今を扱う。深いしわを刻んだ顔、涙をためた目…。二〇〇一年から五年間、十二人の女性のもとに通った安さんは「高齢になった女性たちは慰安婦とされた怒りで死ぬに死ねない。自分で語れない代わりに、僕が歴史の真実として伝えなくてはと思った」と話す。