序論 本稿の目的は、経済システムの歴史的発展をモデル化することにある。 本稿の発想の出発点は先日私が公開した『シビライゼーションサークル』(http://jaguchi975.seesaa.net/article/civilizationcircle.html)だ。しかし、本稿を理解するためにあの記事を改めて参照する必要はない。 本稿の理論は柄谷行人『世界史の構造』と多くの点で共通している。私も、世界史の根幹をマルクス的な「生産様式」でなく「交換様式」に置く柄谷氏の視点には深く共感する。しかし本稿はあくまでも私の独自な思想だ。よって私のモデルと柄谷氏のそれは最終的に大きく異なるものとなっている。 なお、ここで述べられるモデルはあくまでも純化された理念型である。 贈与と金融の類似性 マルセル・モース以降、経済学と人類学は経済の起源を巡って論争を繰り広げてきた。古典派やマルクスなどの経済学者が