『新しい左翼入門 ――相克の運動史は超えられるか――』(松尾匡著、講談社現代新書=2167) はっきり言って、従来の左翼運動に愛想を尽かした本だと思う。社会党の残党や共産党について、あからさまには書かないが、何も期待していないと思う。それはそうだ、彼らは反省しないんだから、どうしようもない。変わる気もないんだろう。ならば、滅びるに任せるしかなく、同時に、有為の人材がそんなところに行かないようにするのが、誠実というもの。では、どうするか。著者はNPOや、企業に期待する。戦前からそのような活動はあり、ささやかながら成功事例もあるのだ。忘れられたかに見えるこれらの歴史を掘り起こすとともに、社共に代表される政党に連なる運動がどうして失敗し、今や風前の灯になっているかを説明する。それから何を学び、どうするべきかがこの本の課題である。 風前の灯となった理由は、著者によれば社会変革運動が宿命的な対立を克