いじめ問題に関する間違った思い込みに『いじめは日本固有の問題であり、海外にいじめはない、あったとしても被害も頻度も問題にならないほど小さい』(P40)というものがある。僕自身、ここまでではないにしても似たような思い込みがあった。 この本では、いじめ問題が日本だけではなく海外でも、特に北欧諸国では日本よりも古くから熱心に研究されている問題であることを指摘し、その海外と国内との様々な研究の比較から、いじめ問題の現状と課題を浮き彫りにしていく、様々な発見がある一冊となっている。 いじめに類する現象は古くから起きていたが、日本においていじめが社会問題化したのは八〇年代半ばのことであったとされる。この最初期のいじめ問題に対する対応の間違いが日本のいじめ問題対応について後々まで悪影響を及ぼすことになった。本書では以下の三点が指摘される。 第一に冒頭で挙げた『いじめは日本固有の問題であり、海外にいじめは