○吉田徹『感情の政治学』(講談社選書メチエ) 講談社 2014.7 政治学は社会科学の一分野である。「科学」というからには、どんな問題でも、十分に合理的に考え、捉えることができれば、適切な「解」を見出すことができるという確信が前提になっている。しかし、現実はさほど単純ではない。ということで、例にあがっているのが(嬉しいことにw)『スタートレック』シリーズ。理知的で合理的なスポック博士の指摘が、必ずしも正しい結果をもたらすとは限らない。さまざまな情報が飛び交い、主張や意見の行き違いが生じ、妬みや恨みも生まれる中で、限られた時間内で乗組員の感情を機敏に把握し、説得や懐柔という手段を通じて、船内の調和を図っていくのは、むしろ直感に優れた直情型のカーク船長の得意とするところ。それこそが政治である、って、たいへん分かりやすい比喩だ。 「私たちは、一人一人が合理的に正しく考え、行動すれば世の中は良いも